2025年、“シン・無人運航船”出現:船も「CASE」(1/4 ページ)
日本財団は無人運航船プロジェクト「MEGURI2040」の第2ステージ事業に関する説明会を実施した。日本財団が中心となって2020年6月から2022年3月にかけて進めてきた無人運航船開発プロジェクト第1ステージの成果を受けて、2022年10月から第2ステージに着手している。
日本財団は無人運航船プロジェクト「MEGURI2040」の第2ステージ事業に関する説明会を2023年7月20日に実施した。日本財団が中心となって2020年6月から2022年3月にかけて進めてきた無人運航船開発プロジェクト第1ステージの成果を受けて、2022年10月から実運用に即した段階に着手している。
その第2ステージ事業について、日本財団 常務理事の海野光行氏からプロジェクトの意義と概要に関して、MEGURI2040コンソーシアムプロジェクトディレクターを務める日本海洋科学の桑原悟氏から具体的な取り組みに関して説明された。
日本財団、無人運航船プロジェクト第2ステージ発動
日本財団の海野氏は、第1ステージでは最終的に「長距離かつ12時間以上の長時間航行」「東京湾での輻輳(ふくそう)海域航行」「全長200m以上の大型船」「時速約50kmの高速航行」という条件での自動運航実証実験を成功させ、成果を残したことを示した。
その上で、MEGURI2040で設けている3段階の目標「第1ステージ:2021年度までに世界初、既存航路において無人運航実験の完了」「第2ステージ:2025年までに無人運航船を実用化する」「第3ステージ:2040年までに内航船の50%を無人運航化」のうち、第2ステージの実現を目指す。「日本財団の役割として、この事業全体の取りまとめ、調整、進捗(しんちょく)管理、安全性の評価などを助成という形態でサポートしていく」(海野氏)
第2ステージで達成を目指す無人内航船の実用化。その具体的な課題としては、技術面で避航や離着桟技術の向上が求められる以外にも、ルールと規格の分野では無人運航を可能とするための国際条約に基づく規則や国内法令の策定、そして海運事業では欠かせない保険の仕組みの整備がそれぞれ必須になる。「安全性評価事業を基に無人運航船の評価手法を確立して、国際的なルール形成を先導していきたい」(海野氏)
また、これら専門分野における開発研究だけでなく、無人運航船を社会が受け入れるための理解の醸成や啓発活動も重要になると海野氏は説明する。
このように技術向上や法律の議論、社会的啓発といった多岐にわたる目標を達成するため、第2ステージでは造船や海運、舶用機器メーカーに加え、AI(人工知能)、ICT、通信、商社など他分野の企業も参加して51社の事業体で取り組む。海野氏は、これら参画事業体が実施する第2ステージ関連事業に対して2022年10月から2026年3月の期間で技術開発助成金として100億円の予算を設定したことを明らかにした。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.