電話対応を半減! アナログな港湾をCyber Portは救えるか:船も「CASE」(3/4 ページ)
国土交通省は「Cyber Port(サイバーポート)」の活用に向けたWebセミナーを開催した。サイバーポートは、民間事業者間のコンテナ物流手続を電子化して作業の効率化を目指すプラットフォームだ。
同様に導入事例として取り上げられた伏木海陸運送では、社内部署が異なるとシステムも異なるため同じコンテナ情報の2重入力が起きていたが、サイバーポートを介することでデータ連携が実現。2重入力が削減できた効果を示している。伏木海陸運送の事例は地方にありがちな課題で、ターミナルオペレーターだけでなく船社によってもやり方が異なるため、業務フローはより複雑になっているという問題に直面している。
このようなデジタル移行が遅れている状況での導入のケーススタディーとなるのが、現在FAXだけで業務を回している、“ある”ターミナルオペレーターの取り組みだ(セミナーではターミナルオペレーターを特定する情報は非公開とされていた)。
このターミナルオペレーターでは業務で発生するやりとりが「100% FAX」(坂本氏)という状況にある。ここから一気にサイバーポートに全てを移行するのは不可能に近い。そこで、導入に当たっては現在FAXで使用している申込書の項目や入力情報を分析し、サイバーポートの帳票にマッピングした上で、ブッキング情報、海貨が追加した情報、ターミナルの回答情報の3つに分けて入力工数が削減できるか検討を加えた上で、現在は本番環境でトライアルを実施しているという。
このトライアルでも万全を期すため、3段階のステップに分けて検証している。第1ステップはサイバーポートで管理用のIDを作成するもののコンテナに関するデータはない状態で、そのIDに現状FAXで使用している申込書を添付してターミナルに送信することでFAXの代替として使う方法だ。第2ステップではサイバーポートで取引用のIDを作るのは同じで、そこにコンテナに関するデータも入れる。念のため現状のFAX用申込書を添付してターミナルに送ってもらう。
これで問題がなければ最終段階の第3ステップに進み、サイバーポートで取引用のIDを作りコンテナに関するデータだけを送信する。なお、その上の段階としてCSVデータやAPIを利用した外部システムとの連携も検討しているという。「空コンテナピックアップ業務に関わる情報の半分はブッキング情報。ブッキング情報を船会社とかTOSから提供して、申込者側の海貨とかターミナルオペレーター、船社とか便利になるようにやっていきたい」(坂本氏)
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