インキュベーションが自動分注システム内で行えるサーマルサイクラー:JASIS 2023
アジレント・テクノロジーは、「JASIS 2023」で、自動分注ソリューション「Bravo NGS」やBravo NGS用の組み込み型サーマルサイクラー「ODTC」、水素ガス対応のエクストラクタイオン源を紹介した。
アジレント・テクノロジーは、「JASIS(Japan Analytical & Scientific Instruments Show)2023」(2023年9月6〜8日)に出展し、自動分注ソリューション「Bravo NGS」やBravo NGS用の組み込み型サーマルサイクラー「ODTC(On-Deck Thermal Cycler)」、水素ガス対応のエクストラクタイオン源を披露した。
ODTCのインキュベーションは蒸発しない
Bravo NGSは、自動で試料や薬品などの液体を計測し、一定量を取り出して、サンプルに吐出する自動分注ソリューションで、使いやすいインタフェースが採用されており、自動分注の実行にプログラミングの知識は必要ない。さらに、DNAの構成成分であるアデニン、グアニン、シトシン、チミンの4つの塩基の正確な配列を解明するシーケンシングのシステムとして、同社が展開する「Agilent SureSelect」「Agilent HaloPlex」などの試料キットの自動分注にも対応し、搭載されたプロトコルにより自動で分注できる。
ODTCは、液体(試料や薬品など)を計測し、一定量を取り出して、吐出するBravo NGSの2番デッキに組み込めるサーマルサイクラーで、これまで自動分注後に行っていたインキュベーションをBravo NGS内で自動で行えるため、業務効率を高められる。
説明員は「これまでの自動分注システムは、サンプルに試料や薬品を分注するまでの作業を担当しており、分注が完了したら、スタッフがサンプルを取り出して、外部のインキュベーターでインキュベーションを行っていた。一方、ODTCを組み込んだBravo NGSは、分注完了後のサンプルをODTCにより自動でインキュベーションできる。これにより、分注からインキュベーションまでの作業を自動化している。加えて、一部のインキュベーターでは、高温のインキュベーションによりサンプルが蒸発する場合があると聞くが、ODTCのインキュベーションは蒸発しない温度で行っているため、サンプルの品質を保てる」とコメントした。
水素ガス対応のエクストラクタイオン源は、同社のガスクロマトグラフィー(GC)/質量選択検出器(MSD)システム「5977C GC/MSD」のMSD部分に搭載することで、ヘリウムガスの代替キャリアとなる水素ガスを使用した際に生じるマススペクトル(イオン源で生成されたイオンの質量分布のグラフ)の変化を抑えられる。
説明員は「このエクストラクタイオン源は、特殊なコーティングがされているため、ハロゲンなど、イオンとくっつきやすい反応性が高い物質が侵入しても、MSDで検出されるマススペクトルが変化しにくい。そのため、マススペクトルのライブラリー(さまざまなスペクトル情報を集積したデータベース)を再構築しなくても、対象物の詳細な解析が行える」と利点を話す。
また、ブース内では、「LabX-OpenLabプラグイン」を用いて、電子天びん用ソフトウェア「METTLER TOLEDO LabX Balance」からクロマトグラフィーデータシステムのアプリケーション「Agilent OpenLab CDS」に、計量結果と関連メタデータを自動でシームレスに送信するデモンストレーションも行われた。
「LabX-OpenLabプラグイン」によるシステム連携の詳細はこちらから
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