アジレントがオンラインLCでプロセス製造分野に参入、次世代LIMSも投入へ:FAニュース(1/2 ページ)
アジレント・テクノロジーは、プラントなどの反応槽内における製造物の状態をオンラインで監視できるオンラインLC(液体クロマトグラフィー)システムと次世代のラボ情報管理システム「SLIMS」を発表した。
アジレント・テクノロジー(以下、アジレント)は2022年8月10日、オンラインで会見を開き、プラントなどの反応槽内における製造物の状態をオンラインで監視できるオンラインLC(液体クロマトグラフィー)システムと次世代のラボ情報管理システム「SLIMS」を発表した。
これまで同社は「Agilent InfinityLab」で研究/分析向けのLCシステムを展開してきたが、プロセス製造向けの製品は初となる。主に医薬品の製造では、FDA(米国食品医薬品局)やICH(医薬品規制調和国際会議)の規制もあって、原薬から製剤までの一貫した連続生産やPAT(プロセス解析工学)が求められており、反応槽における製造物の状態を随時モニタリングするシステムの需要が高まっている。そして、これまで研究/分析向けで広く利用されてきた同社のLCシステムをプロセス製造の分析にも使いたいと要望も出ていた。
また、アジレントが重視するバイオ医薬品市場では、研究開発から製造へのスケールアップを進める中で、反応槽における品質特性を把握しつつ早期に高品質と大量生産の両立を実現する必要がある。そのためには、センサーによるインラインのモニタリングだけでなく、反応槽からのサンプリングとLCシステムによる詳細な分析を自動化するオンラインLCシステムが強く求められているという。
オンラインLCシステムは、反応槽からサンプルを採取するサンプリングインタフェース、サンプリングインタフェースから送られるサンプルをLCシステムに適切に投入するためのオンラインサンプルマネージャー、LCシステム本体、オンラインLC専用のモニタリングソフトウェアから構成される。オンラインサンプルマネージャーと専用のモニタリングソフトウェアを新たに開発しており、LCシステムについては既存のアジレント製品を流用することが可能だ。
なお、オンラインサンプルマネージャーについては、独自のデュアルバルブシステムにより、サンプルの直接注入や自動希釈、オンラインサンプル前処理などを行える。サンプル保管機能も備えており、サンプル保存に加えて、研究者が手作業でより詳細な分析を行うオフラインLCによる品質管理などにも活用できる。
2022年6月には、アイルランドのAPCとリアルタイムプロセスモニタリングソリューションの提供で、ドイツの化学企業であるメルク(Merk)とPATに関する取り組みで協業を発表している。日本国内向けでは、2022年9月からオンラインLCシステムの受注を開始し、同年秋までに出荷する予定である。
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