SCM変革は62.3%が「できていない」、推進企業はBCP対策や脱炭素対応を実施:サプライチェーン改革(2/2 ページ)
MONOistでは2023年7月21日に調達およびサプライチェーンの問題に関するオンラインセミナー「製造業のデジタル調達戦略〜予測不能な市場に対応する調達業務の革新〜」を開催し、106人の来場者にアンケートを回答いただいた。その中で、来場者の課題感が見える一部の回答について抜粋して紹介する。
調達難への対応は「代替部品の活用」と「設計変更」が中心
それでは、部品や材料の調達難に際した場合どのような対策を取っているのだろうか。対応策について聞いたところ「代替部品の調査と活用」が最多の19.9%となった。次いで「設計変更による不足部材活用の回避」(14.2%)、「新規調達先の開拓」(10.4%)などが続いている。022年2月に行った「第3回 半導体・電子部品の供給状況に関するアンケート」では、これらの回答に加え「顧客への納期延長交渉」や「通販商社など市場調達の活用」なども上位回答として挙がっていたが、深刻な逼迫期を過ぎたことから、緊急対応のようなアクションの比率は下がっている。
中長期的なサプライチェーン変革は62.3%が「できていない」
昨今の地政学的問題や経済安全保障の問題、またコロナ禍のようなパンデミックなどの可能性などを考えると、サプライチェーンについては、より柔軟でレジリエンスのある体制作りが求められているが、新たな対策を「既に導入している」としたのは14.2%となった。また「検討している」が23.6%となっており、新たな動きを「具体的に行っていない」が過半数(62.3%)を占めている。コロナ禍を経て新たな体制構築に取り組む企業と、サプライチェーンの混乱が過ぎ去ったことで一息ついている企業とで対応が分かれる結果となっている。
進めている企業に具体的な取り組みを聞いたところ「BCP対策」「カーボンニュートラルへの対応」「データスペース構築」「グループ会社や製品の枠を超えた共同購買の検討」「グループ全体のシステム統合」「集中調達」などの意見が挙がっていた。
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