半導体の供給不足の状況を調査、自動車だけでなく産業用機器への影響も広がる:MONOist/EE Times Japan/EDN Japan読者調査
MONOist、EE Times Japan、EDN Japanのアイティメディア製造業向け3媒体は「半導体・電子部品の供給状況に関するアンケート」を実施した。調査期間は2021年2月17日〜2021年3月16日。有効回答数は201件。本稿ではその内容について紹介する。
MONOist、EE Times Japan、EDN Japanのアイティメディア製造業向け3媒体は「半導体・電子部品の供給状況に関するアンケート」を実施した。調査期間は2021年2月17日〜3月16日。有効回答数は201件。本稿ではその内容について紹介する。
調査概要
「半導体・電子部品の供給状況に関するアンケート」は、アイティメディアのモノづくり関連メディアが発行するメールマガジン「モノづくり総合版」「日刊MONOist」「メカ設計」「製造マネジメント」「電子機器設計/組み込み開発」「オートモーティブ」「FA」「医療機器」を通じて実施した。実施期間は2021年2月17日〜3月16日で、製造業のモノづくり技術者を中心に201件の有効回答を得た。
回答者の主な職種は、「営業・販売」が24.4%、「研究・開発」が23.4%、「設計・解析」が14.9%、「経営・経営企画」と「製造・生産技術」がそれぞれ10.0%、「資材・購買」と「品質保証・管理」が6.0%となっている。製造業内の業種では、「電子部品・デバイス・電子回路」が35.8%、「産業用・事務用機器」が15.9%、「電気機器」が13.9%、「自動車・輸送用機器」が7.5%、「その他」が9.5%となっている。
従業員規模は「5000人以上」が28.9%、「1000人以上5000人未満」が18.4%、「100人以上1000人未満」が29.9%、100人未満が22.9%だった。
回答者の業務は、「半導体、電子部品以外の部品やシステムを最終製品を扱う企業に納入している」が38.0%、「半導体・電子部品メーカー」が30.5%、「一般消費者に販売する最終製品を扱う」が18.0%だった。
供給不足の解消は「めどが立たず」
業務において半導体や電子部品の供給不足を感じていると答えた回答者に、その用途や分野を尋ねた。自動車では「走る曲がる止まるなど車両制御」を挙げた回答者が30.1%、「コネクテッド・通信」や「インフォテインメント」がそれぞれ22.0%、「パワートレイン」が21.1%、「ADASや自動運転など先進分野」が18.7%となった。
自動車以外では、「産業用機器」を挙げた回答者が51.2%で最多となった。「民生用機器(白物、AV機器)」や「PC」などにも供給不足が広がっている。
供給不足解消の見通しについては「めどは立っていない」という回答者が33.3%で最多だった。この他の回答としては「2021年10〜12月」(25.2%)、「2021年7〜9月」(17.1%)、「2022年以降」(13.0%)と続いた。
2021年2月ごろの時点では、トヨタ自動車や日産自動車など一部の自動車メーカーが同年夏かそれよりも前の段階で供給不足が解消する見通しを示していたが、製造業全体でみると不透明な状況は続きそうだ。
部品の調達や供給について自由記述で回答を求めたところ「他社は1〜2年先の需要までまとめて手配しているが、自社としてどのような対策を行うべきか、説明を困っている」「顧客の需要見通し(フォーキャスト)の精度改善が必要」といった声があった。また、自動車メーカーやティア1サプライヤーから要求された在庫の確保とコスト負担の在り方を指摘する回答も見られた。
この他、アンケートでは供給不足が発生している半導体や電子部品の具体的な品目や、半導体供給不足によって生産に影響が出ている地域についても調査した。
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