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ヤマハ発動機の次世代電動操船システムが3例目の実証運航:船も「CASE」
ヤマハ発動機は徳島市が運航する「ひょうたん島クルーズ」において、次世代操船システム「HARMO」を用いた実証運航を行う。
ヤマハ発動機は2023年8月10日、徳島市が運航する「ひょうたん島クルーズ」において、次世代操船システム「HARMO(ハルモ)」を用いた実証運航を行うと発表した。期間は同年8月12日〜11月下旬を予定している。
HARMOは、電動ならではの静粛性によって乗船者の快適さを向上させるスマートパッケージボートの提供を目指して開発した次世代操船システムプラットフォームだ。今回は全長7mのボートに搭載する。
プラットフォームはモーターを動力とする推進機ユニットと、動作を制御するリモートコントロールボックス、直感的な操作が可能なジョイスティックなどで構成されている。モーター駆動はリムドライブ方式を採用し、高効率な推進を実現しており、低速でも強い推進力を生み出せる。また、大舵角のステアリング機構により、その場での旋回を可能にするなど高い操船性を実現した。
徳島市の中心地は川に囲まれた中州で、「ひょうたん島」と呼ばれているという。中心地を周遊する観光クルーズ船がひょうたん島クルーズで、NPO法人の新町川を守る会によって運航されている。橋や川岸の公園、ヨットハーバーなど川から街の景色を楽しめるとしている。ひょうたん島クルーズや貸切運航、旅行代理店などから申請されたクルーズ企画などさまざまな用途でHARMOの検証を行う。
HARMOの実証運航は、国内では現在も継続運航されている北海道の小樽運河クルーズ、神奈川県の横浜ベイサイドマリーナYBMクルーズに続く3例目となる。
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