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電通も狙うMaaS市場、地域の移動手段としてデジタル化できるかがカギモビリティサービス(1/2 ページ)

電通とMONET Technologies(モネ)、東京海洋大学は2019年9月4〜5日、東京都内で水陸連携マルチモーダルMaaS(Mobility-as-a-Service、自動車などの移動手段をサービスとして利用すること)の実証実験を行った。電通は、地域の利便性向上など魅力向上を図る一環で、移動手段の1つとして船を活用することを狙う。都心で実績や経験を蓄積し、地方や離島などに船を含むMaaSのノウハウを低コストに展開したい考えだ。

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電通本社の最寄りは地図左上の汐留駅。日の出ふ頭は竹芝駅が近い。豊洲や勝どき、東京ビッグサイト方面に移動する陸路はいずれも遠回りだが、もし船で移動できたら……(クリックして拡大) 出典:Googleマップ

 電通とMONET Technologies(モネ)、東京海洋大学は2019年9月4〜5日、東京都内で水陸連携マルチモーダルMaaS(Mobility-as-a-Service、自動車などの移動手段をサービスとして利用すること)の実証実験を行った。電通は、地域の利便性向上など魅力を高める方策の一環で、移動手段の1つとして船を活用することを狙う。都心で実績や経験を蓄積し、地方や離島などに船を含むMaaSのノウハウを低コストに展開したい考えだ。

→連載『船も「CASE」』バックナンバー

 今回の実験は、公共交通機関でのアクセスが不便な船着き場まで配車サービスで移動できるようにし、船を新たな交通手段として活用する可能性を検討するための初歩的な実証という位置付けだ。港区東新橋にある電通本社から、クルマで10〜20分程度離れた日の出ふ頭の船着き場に移動し、待ち時間なく船に乗るというコンセプトとした。

 実証実験を行った日の出ふ頭の近隣では、浜松町・竹芝エリアの大規模な再開発が進んでいる。また、東京湾を挟めば、豊洲や、「東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会」に合わせた再開発が進む勝どきなどのエリアとほど近い。これらの地域と浜松町・竹芝エリアの間を移動する場合、陸路では大きく迂回する道路や鉄道路線しかないが、船であれば陸路と比べて移動距離も所要時間も少なく済む。

 船着き場までの配車サービスは、モネのプラットフォームを使用した。商用の配車ではないが、実際のドライバー向けのアプリでは乗車時刻や目的地のスケジュールが設定されていた。また、陸路から海上まで、MaaSのアプリユーザーがどこにいるか把握する様子も公開した。

配車サービスのドライバー向けアプリ画面のイメージ(左)。アイコンがクルマのままだが、船に乗った後の海上でもアプリユーザーがどこにいるか把握することができる(中央)。船着き場の旅客船の情報は、電通のプラットフォームで一元管理されている。写真は実証実験の船の発着情報のみだが、週末には遊覧船などの情報も表示される(右)(クリックして拡大)

船の遠隔自動運転の様子。写真中央の赤色の丸で囲ったのが対象の船だ(クリックして拡大)

 電通は船着場利用管理システムを提供。これは2019年8月から商用で稼働しており、複数の旅客船事業者の情報を船着き場で一覧で確認できるようにしている。

 日の出ふ頭には複数の乗船ターミナルがあり、これまで旅客船事業者は個別に運行情報や予約、決済を管理していた。電通のシステムで船着き場の利用状況や予約、決済をデジタルで一括管理することにより、旅客船による移動をMaaSの経路検索の1つとしてプラットフォームに組み込めるようにする。

 東京海洋大学は自動運航船「らいちょうI」を提供した。らいちょうIは、離着岸の自動運転化や船の電動化などさまざまな分野で装備を持った研究開発用の船だ。パイオニアのLiDAR(Light Detection and Ranging、ライダー)も採用している。

 電通は船の自動運転技術が船員の人手不足解消と、より多くの旅客船を効率的に運用することにつながると期待を寄せている。実証実験でらいちょうIの離着岸の操作は手動で行ったが、途中はオペレーターによる遠隔操作で航行した。遠隔操作の拠点は、日の出ふ頭の近隣を見渡せる場所に設けた。船には周辺監視用のカメラが設置されているが撮影範囲が限られるため、オペレーターがらいちょうIを目視できる場所で遠隔操作を行った。

自動運航船「らいちょうI」。船首のアンテナで、遠隔操作の拠点から発するWi-Fiの電波を受信する(左)。離着岸の自動運転に向けてパイオニアのLiDARが採用されている(中央)。遠隔操作の拠点。船と通信するためのアンテナや運転のコントローラー、船の状態を確認するためのモニターなどが設置されている(右)(クリックして拡大)

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