商船三井と旭タンカーは2023年4月19日、2隻目となる電気推進タンカー「あかり」が完成したと発表した。4月14日には川崎港において商船三井が運航する鉄鋼原料船「UNTA(ウンタ)」に燃料を供給した。1隻目の電気推進タンカー「あさひ」とともに京浜地区でゼロエミッションな燃料供給を行う。
あかりとあさひは船内に搭載した大容量リチウムイオン電池から供給される電力によってモーターを駆動して推進する。また、荷役や離着桟、停泊中の動力も全てリチウムイオン電池の電力でまかなうことができる。温室効果ガスを排出しない燃料供給オペレーションを実現するだけでなく、主機関のメンテナンス作業が軽減されるため乗組員の労務負荷軽減も図れる。
あかりの寸法は全長62×全幅10.3×型深さ4.7mで、重油を積載する。タンク容量は1279m3。バッテリー容量は3480kWhで、川崎重工製だ。総トン数は497トン、速力は約10ノットとなる。徳島県の井村造船が建造した。
旭タンカーは国内外で石油関連製品を輸送する海運会社。2022年4月から操業している1隻目のあさひは「世界初」(旭タンカー)の電気推進タンカーだ。あさひの最初の燃料供給は自動車専用船だった。
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