ヤンマーがトヨタの燃料電池を船に、2023年の市場投入目指す:船も「CASE」
ヤンマーホールディングス傘下のヤンマーパワーテクノロジーは2021年10月13日、燃料電池システムを搭載した実証試験艇で、高圧での水素充填や大阪湾での試験航行を実施したと発表した。船舶に70MPaの高圧水素充填を行うのは「世界初」(ヤンマーホールディングス)としている。
ヤンマーホールディングス傘下のヤンマーパワーテクノロジーは2021年10月13日、燃料電池システムを搭載した実証試験艇で、高圧での水素充填や大阪湾での試験航行を実施したと発表した。船舶に70MPaの高圧水素充填を行うのは「世界初」(ヤンマーホールディングス)としている。
ヤンマーパワーテクノロジーは、トヨタ自動車の燃料電池モジュールを用いて出力300kW級の舶用燃料電池システムの開発を進めている。さまざまな船種に搭載できるよう船級協会の型式承認を取得し、2023年の市場投入を目指している。
今回の実証試験艇での水素充填は、豊田通商と共同で特別に許可を得た高圧充填設備と新たに試作した長尺の水素充填ホースを使って実施した。これまでの充填方式と比べて航続時間を3倍以上に伸ばすことができ、より実運用に近い航行が可能であることを確認したという。得られた知見は、今後の舶用燃料電池システムの実用化や、舶用水素インフラの検討に活用していく。
ヤンマーホールディングスのこうした取り組みは、国土交通省のカーボンニュートラルポート構想を踏まえたものだ。舶用燃料電池システムだけでなく、外航船や内航の大型船向けの舶用水素エンジンの開発にも取り組んでいる。2021年4月には、川崎重工とヤンマーパワーテクノロジー、ジャパンエンジンコーポレーションと共同で、舶用水素エンジンを開発するコンソーシアムを設立。基礎燃焼解析や素材、シール技術、船級規則対応などの分野で連携しながら、各社で異なるエンジンを開発。2025年ごろの市場投入を目指している。
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