新型ミライの燃料電池システム、乗用車以外への活用も視野に刷新:燃料電池車(1/2 ページ)
トヨタ自動車は2020年12月9日、燃料電池車(FCV)「MIRAI(ミライ)」をフルモデルチェンジして発売した。税込みメーカー希望小売価格は先代モデルからほぼ据え置きの710万円から。優遇税制や補助金を組み合わせることにより、ベーシックなGグレードの場合でおよそ139万5700円の購入補助が受けられる。生産は同社の元町工場(愛知県豊田市)で行う。
トヨタ自動車は2020年12月9日、燃料電池車(FCV)「MIRAI(ミライ)」をフルモデルチェンジして発売した。税込みメーカー希望小売価格は先代モデルからほぼ据え置きの710万円から。優遇税制や補助金を組み合わせることにより、ベーシックなGグレードの場合でおよそ139万5700円の購入補助が受けられる。生産は同社の元町工場(愛知県豊田市)で行う。
新型ミライは、1回の水素充填で走行できる距離は従来モデルから30%増となる850kmを達成した。ミライの先代モデルは1回の水素充填によってJC08モードで650kmを走行できたが、水素ステーションの少なさから不安の声が多かった。
今回、フロアトンネルのスペースを活用して水素搭載量を拡大したことで走行距離が従来モデル比20%増となった。高圧水素タンクは2本から3本に増やした。増えた水素タンクはフロアトンネルに設置している。また、ユニットの損失低減や、燃料電池(FC)スタックの性能向上、発電効率の改善により同10%増につなげた。
発電に必要な空気を吸入する際に、PM2.5レベルの粒子を捕捉するダストフィルターや、有害な化学物質の除去やPM2.5の発生を抑制するケミカルフィルターを通すことにより、走るほど空気をきれいにする“マイナスエミッション”も実現する。走行によってきれいにした空気の量はセンターディスプレイにも表示する。
新型ミライのプラットフォームは、FR(後輪駆動)の上級車種向け「GA-Lプラットフォーム」をベースに高剛性化と軽量化を図った。主要な骨格部材にアルミ材や超高張力鋼板(ホットスタンプ材)を最適配置した。さらに、吸音材や遮音材の最適配置、モーターギアのノイズを低減するサイレンサー、フロアパネルの板厚アップ、フロア全面に制振材を塗布するなど遮音対策を強化することで静粛性も高めている。
FR化にともなうFCシステムや駆動系部品の配置変更、重心位置を中央に設定するためにフロントオーバーハングを切り詰め、車両重心から離れた部材にアルミを採用する軽量化を行うなどして、前後の重量バランスを50:50とした。さらに、操縦安定性を高めるための制御も複数取り入れた。アンダーステア領域を縮小するアクティブコーナリングアシストや、高速旋回時のオーバーステアを回避するためのフィードフォワードタックイン抑制制御、強風のときにアンチヨーモーメントを発生させる横風安定性制御などを採用している。
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