キヤノンが黒色プラスチック片も同時計測できる選別法開発、装置として2024年販売:FAニュース
キヤノンは黒色プラスチック片やその他の色のプラスチック片を同時計測できる選別法を開発。2024年上期には、同選別法を導入したプラスチック選別装置の発売する。
キヤノンは2023年7月12日、黒色プラスチック片やその他の色のプラスチック片を同時計測できる選別法を開発したことを発表した。2024年上期には、同選別法を導入したプラスチック選別装置の発売を予定している。同社によれば、黒色と白色のプラスチック片を同時に高精度で計測できる装置は業界では初めてという。
従来は選別が難しかった黒色プラスチック片
現在、さまざまな種類のプラスチックがリサイクルされており、プラスチック片の種類を選別する方法としては主に近赤外分光法が用いられている。近赤外分光法では、測定する物体に近赤外線を照射して、反射や透過など物体特性に応じた光の吸収を測定し、樹脂の種類を特定する。電化製品や自動車の内装などに使われる黒色プラスチック片は可視光を通さず反射もしないため選別できず、多くが燃料として再利用されている。
レーザー光をプラスチック片に照射し、物質の分子情報を取得するラマン分光法は黒色プラスチック片の計測が可能だが、黒色プラスチック片は散乱する光が少ないため他の色に比べて計測に時間がかかり、高速で大量の処理は困難だった。
今回、キヤノンでは同社の計測、制御機器とラマン分光法を組み合わせることで、1つ1つのプラスチック片の色に合わせた計測時間を確保し、黒色も含めたプラスチック片を高速かつ高精度に同時選別するトラッキング型ラマン分光技術を開発した。特徴は、高速に動くベルトコンベヤー上のプラスチック片の正確な位置を把握し、レーザー照射位置を走査することで、それぞれのプラスチック片の選別に必要な時間のレーザー光を照射し続ける点だ。
具体的な仕組みは次の通りだ。まず画像認識システムでベルトコンベヤー上を流れるプラスチック片の位置、色の明るさ、大きさなどをあらかじめ判別する。次にキヤノンの非接触測長計「PD-704」でベルトコンベヤーの速さを計測し、ガルバノスキャナーモータ「GM-2020」に付けた専用ミラーでレーザー光をプラスチック片1つ1つに追従して照射。黒色プラスチック片の場合は、長い時間が必要なため追従も長くなる。
反射したレーザー光や散乱光を同社開発の受光ユニットで受光し、独自開発した分光ユニットでラマン散乱光を計測し、識別ソフトで解析する。その結果を基に、ベルトコンベヤーの終端にあるエアージェットなどで選別を行う。ソフトの設定を変更することでさまざまな種類のプラスチック片の識別が可能になる。
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