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私たちの給料は「付加価値の分配」の結果、ってどういうことだろう?イチから分かる! 楽しく学ぶ経済の話(3)(6/6 ページ)

勉強した方がトクなのは分かるけど、なんだか難しそうでつい敬遠してしまう「経済」の話。モノづくりに関わる人が知っておきたい経済の仕組みについて、小川さん、古川さんと一緒にやさしく、詳しく学んでいきましょう!

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日本の家計への付加価値分配は主要国では低め

最後に、主要国での付加価値の分配の水準を、家計と企業で比較してみましょう。家計は雇用者報酬と営業余剰・混合所得(総)を加えたもの、企業は営業余剰(総)で算出しています。



図12:家計の1人当たり雇用者報酬・営業余剰・混合所得(総)[クリックして拡大] 出所:OECD, Gross domestic product, Current pricesの数値を基に作成

図13:非金融法人企業の1人当たり営業余剰(総)[クリックして拡大] 出所:OECD, Gross domestic product, Current pricesの数値を基に作成

家計を見ると米国が圧倒的に高く、他国を大きく引き離しています。日本は1990年代に高水準をマークした後は横ばいになり、最近では米国を除いた主要国では中位という位置付けになっていますね。


はい。一方で非金融法人で見ると、日本はカナダやドイツと共に高水準を最近までキープしています。企業に分配される付加価値が比較的多かったと言えるでしょうね。


ちなみに、非金融法人への分配額においても米国はトップクラスです。


なるほど。よく分かりました。


今回はここまでとしましょう。今回は生産された付加価値が誰にどのくらい分配されるかを見てきました。次回は、分配された付加価値がどのように再分配されて、自由に使えるお金である可処分所得になるのかを見ていきましょう。


はい、次回もよろしくお願いいたします!



<参考情報>

 今回、労働者への分配は雇用者報酬と述べましたが、雇用者報酬は実際に労働者に支払われた賃金/俸給と、社会保険料の企業側負担分などの雇主の社会負担に区別されます。

 雇い主の社会負担は、ここで一度雇用者である家計に分配されたと見なし、再分配となる所得の第2次分配勘定で家計から、一般政府や金融機関などに支払われるという段階を経ます。これを、雇い主の社会負担の迂回処理と言います。

 実際に労働者として受け取るのは賃金/俸給分となり、これが私たちの労働者としての年収に相当すると考えられます。つまり、賃金/俸給を雇用者数で除した数値(雇用者1人あたり賃金・俸給)が一般的に考えられる平均給与に近いものとなります。

 参考までに、主要国の雇用者1人あたり賃金・俸給のドル換算値(為替レート換算)を下図に示します。OECDで公表されている平均給与(Average annual wages)は、この数値にさらにパートタイム労働者がフルタイム働いたと見なした場合の調整がされています。


参考図:雇用者1人あたり賃金・俸給[クリックして拡大] 出所:OECD, Gross domestic product, Current pricesの数値を基に作成

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⇒本連載の目次はこちら
⇒連載「『ファクト』から考える中小製造業の生きる道」はこちら
⇒連載「小川製作所のスキマ時間にながめる経済データ」はこちら

筆者紹介

小川真由(おがわ まさよし)
株式会社小川製作所 取締役

慶應義塾大学 理工学部卒業(義塾賞受賞)、同大学院 理工学研究科 修士課程(専門はシステム工学、航空宇宙工学)修了後、富士重工業株式会社(現 株式会社SUBARU)航空宇宙カンパニーにて新規航空機の開発業務に従事。精密機械加工メーカーにて修業後、現職。

医療器具や食品加工機械分野での溶接・バフ研磨などの職人技術による部品製作、5軸加工などを駆使した航空機や半導体製造装置など先端分野の精密部品の供給、3D CADを活用した開発支援事業等を展開。日本の経済統計についてブログやTwitterでの情報発信も行っている。


監修者紹介

古川拓(ふるかわ たく)
TOKYO町工場HUB 代表

京都大学法学部卒。バンカーとして日米で通算15年間勤めたのち、2004年に独立。技術と創造力で社会課題の解決を促すソーシャルデザイン/プロデュースの道を進む。自ら起業家として活動しつつ、ベンチャーファンドの取締役、財団理事等を歴任し、国内外で活動してきた。

2017年よりスタートアップのエコシステム構築を目指すTOKYO町工場HUBの事業を開始。さらに2022年より和文化(工芸、芸能、食文化)を海外向けにプロデュースするTokyo Heritage Partnersを立ち上げ、現在に至る。

2009年〜2020年:東京大学大学院新領域創成学科の非常勤講師(持続可能な社会のためのビジネスとファイナス)を務めた。現在、東京都足立区の経済活性化会議他、東京観光財団エキスパート(ものづくり分野担当)、各種審議委員会の委員を務める。


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