イオングループのデジタルシフトを象徴する物流拠点「誉田CFC」は何がすごいのか:物流のスマート化(3/3 ページ)
イオンネクストは、本格稼働を開始したオンラインマーケット事業「Green Beans」の物流拠点である「誉田CFC」を報道陣に公開した。
配送用トラックはトヨタ自動車が開発
顧客への配送の起点となる自動倉庫からのコンテナ取り出しもこのロボットが行う。ロボットの移動速度は秒速4mで、最大約5万SKUの商品の中から6分間で50個の商品に対応した専用コンテナの取り出しを行う。
取り出された専用コンテナはピッキングステーションの仕分け担当者の下に送られる。仕分け担当者は液晶ディスプレイの表示に従って、配送用コンテナ(デリバリートート)内に取り付けられた3つのポリ袋に商品を仕分けていく。この仕分け作業も、常温と冷蔵、それぞれの温度帯で行うことになる。
商品の仕分けが完了した配送用コンテナは、Green Beans専用トラックが待つ出荷エリアに送られる。コンテナを搭載した台車は、トラックバースに停車したトラックの後部から荷室にそのまま搭載する。なお、この出荷エリアは冷蔵の温度帯で管理されている。
専用トラックは積載容量1.5トンで、車両総重量は3.5トン以下になるように設計されており、ドライバーは普通免許で運転できる。これは、物流2024年問題で指摘されるドライバー不足に対応するためだ。マニュアルトランスミッションではなく自動変速機(AT)による制御なので、女性ドライバーでも運転しやすいという。実際に、現在約60人のデリバリークルーのうち1割強が女性で、イオンネクストとしては今後も増やしていきたい考えだ。専用トラックの開発はトヨタ自動車が担当した。
トラックの荷室には、配送用コンテナを20個搭載した台車が4つ搭載されている。荷室前部で冷凍/冷蔵の商品の温度管理を行い、後部に常温の商品を配置している。顧客に商品を届ける際には、デリバリークルーが荷室側方の出荷口に入って、情報端末の指示に従って配送用コンテナを取り出して台車に載せて届ける。なお、配送のルート計算は、1秒間で1400万通りのルート計算を行うオカドのAI技術によって最適に選択されているという。
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