シャフトメーカーが生んだ製造業向けハンドクリーム、誕生のきっかけは新人のアイデアだった:ワクワクを原動力に! ものづくりなヒト探訪記(6)(2/2 ページ)
本連載では、厳しい環境が続く中で伝統を受け継ぎつつ、新しい領域にチャレンジする中小製造業の“いま”を紹介していきます。今回は 回転軸の部品であるシャフトを製造、販売しているYSKさんを取材しました。
挑戦する姿勢に引かれYSKに入社
――黒澤さんはYSKに入社されてから何年目ですか?
黒澤さん 2年前に新卒で入社して、現在3年目です。大学時代は大手ハウスメーカーからも内定を頂いていたのですが、入社後の自分の人生が最初から想像できてしまって。
――そういった中、どんな経緯でYSKに入社されたのですか?
黒澤さん 就職について悩んでいたときに知り合いを通じてYSKを知り、それをきっかけに興味が湧いてYSKの企業説明会に行きました。
お話を聞いてみて、製造業という軸がありながら、いろんなことに挑戦しようとしている姿勢に魅力を感じました。直感で、ここで働く未来の方が面白そうだと思い、入社を決めました。
「手荒れ」というものづくりの困りごとに注目
――入社後はどんなお仕事をされたのですか?
黒澤さん あまりなじみのない業界で、やっていけるのか不安に思っていた中、新入社員の研修の延長のような感じで、「鉄に関係する商材でなくてもいいから、何か役に立ちそうなものを考えてみて」と言われました。
――実際にどういった方法で取り組まれたのですか?
黒澤さん まずは業界の悩みを知るところから始めました。ネット検索からはじまり、次に現場でのヒアリングを行いました。そこから「製造業の手荒れ」に着目し、関連する困りごとを集め、企画に反映させました。
ハンドクリームは、複数個考えた企画の1つだったのですが、社内でも評判が良く、「それあったら欲しいよね!」という声が上がったこともあって、本格的な商品開発に踏み切ることになりました。
町工場をもっと働きやすく、安心して長くいられる場所へ
大手他社への入社を辞め、新卒で入社を決意された黒澤さんのお話から、YSKが持つ、“入社1年目から挑戦や成長の機会がある”という、若い世代を引き付ける強い魅力を感じます。
どの業界にも、働く人だからこそ共感できる困りごとや、あったらいいなというものがあるのではないでしょうか? こういった、メインの事業とは異なる分野でありながら労働環境改善のために挑戦するというのは、素晴らしい取り組みであると思います。また、ものづくり新聞としても、今後積極的に取材していきたい事柄であるとあらためて感じました。
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著者紹介
ものづくり新聞
Webサイト:https://www.makingthingsnews.com/
note:https://monojirei.publica-inc.com/
「あらゆる人がものづくりを通して好奇心と喜びでワクワクし続ける社会の実現」をビジョンに、ものづくりの現場とつながり、それぞれの人の想いを世界に発信することで共感し新たな価値を生み出すきっかけをつくりだすWebメディアです。
2023年現在、100本以上のインタビュー記事を発信し、町工場のオリジナル製品開発ストーリー、産業観光イベントレポート、ものづくり女子特集、ものづくりと日本の歴史コラムといった独自の切り口の記事を発表しています。
編集長
伊藤宗寿
製造業向けコンサルティング(DX改革、IT化、PLM/PDM導入支援、経営支援)のかたわら、日本と世界の製造業を盛り上げるためにものづくり新聞を立ち上げた。クラフトビール好き。
記者
中野涼奈
新卒で金型メーカーに入社し、金属部品の磨き工程と測定工程を担当。2020年からものづくり新聞記者として活動。
広報・マーケティング
井上史歩
IT企業の広報在籍の後、ものづくり新聞にジョイン。モノづくりのワクワクをあらゆる人へ届けるため様々な方面へ広報活動中。
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