「床が灰皿」だった昔ながらの金型屋が、キッチリ整理の工場に変わった理由:ワクワクを原動力に! ものづくりなヒト探訪記(4)(1/6 ページ)
本連載では、厳しい環境が続く中で伝統を受け継ぎつつ、新しい領域にチャレンジする中小製造業の“いま”を紹介していきます。今回はプレス金型を製造している飯ヶ谷製作所を取材しました。
MONOist編集部より
本連載はパブリカが運営するWebメディア「ものづくり新聞」に掲載された記事を、一部編集した上で転載するものです。
ものづくり新聞は全国の中小製造業で働く人に注目し、その魅力を発信する記事を制作しています。ものづくり企業にとって厳しい環境が続く中、伝統を受け継ぎつつ、新しい領域にチャレンジする中小製造業の“いま”を紹介していきます。
埼玉県に、“働きやすい”工場として道を極めようと奮闘する金型メーカーがあります。社員一丸となって目指しているのは、「そこで働く『どんな人』にとっても働きやすい工場」です。女性だから、男性だからではなく、自分たちにとって働きやすい工場になるようアップデートを重ねています。
それが、埼玉県草加市でプレス金型を製造している飯ヶ谷製作所。アイデアがいっぱいのワクワクするような工場なんです。飯ヶ谷さんご夫婦と、現場で金型製造を担う女性スタッフの、合計3人が働いています。まずは、その工場の中を探索してみましょう!
まるでキッチンのような作業台
最初に見ていただきたいのが、この作業台。金型を組んだり、部品を加工したりする場所です。物の点数は多いですが、よく見ると道具が細かく分類/区別されていて、整頓されているのが分かります。どの道具も、所番地(ところばんち)が定められていて、置く場所がきっちり決まっていますね。
「この作業台……キッチンのようですね!」。ここを見た瞬間、思わず飛び出た一言です。サイズや形がバラバラな道具を、美しく、かつ取り出しやすいように収納するテクニックは、キッチン収納に通ずるところがあるのかもと感じました。
ガラス棚で汚れから守り保管
ノギスやゲージなどの測定器具を収納しているこの木製ケース。このケースは、ハンドメイドや手作り作品を販売する「Creema(クリーマ)」で購入したものです。インターネットで「ガラス棚」と検索し見つけたそうで、ガラス扉を選んだのは、中に収納する精密機器をしっかり管理するとともに、工場の油やほこりからも守れるようにするためです。
ボルト一本も逃さない、プレス成形機周りの収納
これはプレス金型の成形機です。飯ヶ谷製作所は、主に家電や自動車関連のプレス金型を製造しています。一部、金型を用いた生産も請け負っています。注目していただきたいのは、機械の手前に取り付けられた工具置き場です。
金型を取り付ける際に使うボルトや工具が、専用のスペースに収納されています。これはマシニングで製作したそうです。こういった収納グッズを自作する方はいらっしゃると思いますが、ここまで細かく作られていることに驚きました。
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