図面データ活用における課題 〜類似図面が増え続ける悪循環からの脱却〜:大変革時代の設計者 部門連携とデータ活用の重要性(3)(2/2 ページ)
大変革時代を迎える製造業。従来の縦割り、属人化したモノづくりから脱却し、全ての工程でのプロセス改革を実現するには、図面データや発注実績などの製品データを活用した部門間連携が欠かせない。連載第3回では図面データを活用する際の課題と、図面データの資産としての可能性について解説する。
図面データの活用と資産としての可能性
〜設計工数の削減、調達費用の精度を上げる、見積ブレ減少〜
図面に記載されている全ての内容をキーとして検索できるシステムを構築できれば、図面データの価値は製品製造にかかわる全ての部門で大幅に向上します。
設計部門における効果は先に述べた通り、設計工数の削減が見込めます。検索対象が紙図面にまで及べば、古いメンテナンス部品を探すことも容易になるでしょう。また、過去の設計事例から、なぜその設計になったのか、多くの知見を得られる可能性もあります。
検索できた図面を、CADを使うことなく他部門でもシステム上で詳しく見られるのであれば、図面データの資産としての可能性はさらに高まります。例えば、調達部門ならば、過去の類似形状部品の図面と調達価格を比較して、調達費が妥当であるかどうかを検討できるようになります。これにより、調達費用の精度が上がり、見積もりのブレも解消できます。「前回と同じような部品なのに、今回はなぜ前回と価格が違うのか!」といった、お客さまからの問い合わせも減らせるでしょう。製造部門や生産管理部門でも、設計部門にその都度図面出力を依頼する必要もなくなり、自ら検索して必要な図面を得られます。
製造プロセス全体の最適化を目指した、図面データを活用した部門間連携では、このようなシステムの活用が必要です。次回は、設計情報や購買情報を管理するシステムの歴史を見ていくとともに、埋もれた図面データの活用意義、別々に管理されている情報の連携の必要性について紹介していきます。 (次回へ続く)
筆者プロフィール:
白井 陽祐(しらい ようすけ)
キャディ株式会社 DRAWER事業部 事業責任者
株式会社フリークアウトにて、SMBからナショナルクライアントまで幅広い顧客にDSP/アドネットワークの提案、DMPの導入支援などを行う。2019年6月よりキャディ株式会社に移り、プロダクトマネジャーを経験した後、現職に至る。
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