過去の図面を「使える資産」に変える、独自技術で探索業務を大幅効率化:製造ITニュース(1/2 ページ)
製造業で進まぬ図面データの活用。キャディが開発した「CADDi DRAWER」はこれを支援するサービスだ。同社担当者に話を聞いた。
言うまでもなく、製造業にとって図面は重要な資産だ。図面データの適切な管理、分析、社内共有は、エンジニアリングチェーンとサプライチェーンにおける業務プロセスの効率化、高度化につながる。図面データを有効活用する仕組みづくりは、製造業のDX(デジタルトランスフォーメーション)において重要な位置を占めているといえるだろう。
だが、図面データを「蓄積」するシステムの導入は進んでも、それを意思決定に「活用」するフェーズにはまだ至っていないというケースは珍しくない。要因の1つとして考えられるのが、図面データの検索性の低さだ。必要な時に、必要なデータを取り出せる仕組みが整っていない。
キャディが開発した図面データ活用クラウド「CADDi DRAWER(キャディ ドロワー)」は、図面データの集約化と検索性の向上を通じて、製造業の図面活用を支援する。同社 CADDi DRAWER事業責任者 白井陽祐氏は「CADDi DRAWERは過去の図面データをすぐに検索できるだけでなく、発注実績もまとめて確認できるのでデータ活用につなげやすい。製造業では大量の図面データが蓄積されてきたが、今後は、それをどう活用するがDXのステップとして重要になるはずだ」と指摘する。
独自アルゴリズムで検索性を高める仕組み
CADDi DRAWERは、2D図面データを独自のアルゴリズムで解析することで検索しやすい形で保管し、過去図面データの活用を促進するクラウドサービスだ。図面データの解析技術には、キャディが展開する加工品のワンストップ調達/製造サービス「CADDi MANUFACTURING」で培ったノウハウが生かされているという。2022年6月にサービス提供を開始したが、既に大手製造業などで導入が進んでいる。
図面データをCADDi DRAWERにアップロードすると、寸法や図番や品番、材質や表面処理、塗装に関するテキスト情報などをAI(人工知能)が自動で分析し、構造化してデータベースに保存する。これによって、部品名や材質などのキーワード検索や、指定した図面と類似した形状の図面検索を可能にする。過去図面の発注先や発注金額などの実績情報もひも付けて管理し、まとめて参照できる。発注業務の最適化や原価企画などに活用しやすい。
類似図面検索では、2D図面から3D化した際の形状を類推して、似た形状になり得る過去図面を検索し、類似度の高い順に数十件程度提示する。2D図面においては、正面図や平面図、右側面図それぞれの上下が逆に配置されているといった事情で、本来は似た内容の図面でも異なる図面かのように見えてしまうケースがある。こうした事態を防ぎつつ、検索性を高める仕組みを整えている。
「他社が提供する図面管理システムでは、図面管理用フォルダの細分化や適切な権限管理の実行など、データの分類のしやすさや正確性の担保といった特徴をアピールしている。これに対して、CADDi DRAWERの最大の強みは検索性にある。図面データを雑に放り込んでいっても、簡単に活用できるようにする」(白井氏)
費用はライセンス数や格納する図面数による都度見積もりとなっている。
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