コカ・コーラのあの人気製品も関東で生産開始、素材の風味生かす新ラインが稼働:スマート工場最前線(2/2 ページ)
コカ・コーラ ボトラーズジャパンは海老名工場(神奈川県海老名市)で2023年4月から稼働している新たなアセプティック製造ラインをメディアに公開した。
2種類の液を別々に殺菌してから調合、より素材の風味生かしたコーヒーに
新しいアセプティック製造ラインの特長の1つが、固形物(パルプ状)と液を事前のタンクで混合するなどの工程により、従来のアセプティック製造ラインでは作ることが難しかった製品の製造が可能となった点だ。
また、通常は1つのタンクで調合した液を殺菌してから充填するが、新しいラインではコーヒー飲料ならコーヒー抽出液と乳製品を別々に殺菌してから調合することで、「より素材の持ち味や風味を生かすことができる」(コカ・コーラボトラーズジャパン SCM本部 製造統括部 多摩・海老名工場統括部 海老名工場 製造部 部長の増田亮氏)という。同社でも初めての試みとなっている。
充填が終わった製品には製品名が入ったラベルを付ける。海老名工場の新しいラインでは2台のラベラーをシンクロさせながら1つのラインに対応している。
先述したように新しいラインの生産能力は900BPMとなっており、「現時点で、精密な精度が求められるラベラーのような機械が1台で900BPMに対するのは難しい。そのため、450BPMに対応する2台の機械に分けて、最後に合流させている」(コカ・コーラボトラーズジャパン SCM本部 製造統括部 多摩・海老名工場統括部 工場統括部長 海老名工場 工場長の鳩貝敦之氏)。
ラベラーから出てきたボトルには蒸気の熱を当ててラベルを収縮させ、ボトルにラベルをフィットさせる。その後、キャップに賞味期限などを印字し、段ボールケーサーで段ボールに入れられる。
今後の事業展開に向けて鳩貝氏は「商品の開発は日本コカ・コーラを中心に進めているが、他社も含めてコロナ禍で新製品の開発、導入が抑えられてきた。今後、コロナ禍後になり、人の流れが返ってくると新製品の開発、導入が加速するのではないかと見ている。それに応じた生産、ラインの体制をしっかりと整えていきたい」と意気込む。
関連記事
- コカ・コーラはここからあなたの街へ、自動化装置多数導入の新型物流施設公開
コカ・コーラ ボトラーズジャパンは埼玉工場内(埼玉県吉見町)で2021年から稼働している自動物流センター「埼玉メガDC」を報道陣に公開した。 - コカ・コーラのパッケージデザインの方向性とは、味覚だけでなく五感に訴える
「JAPAN PACK 2019(日本包装産業展)」の特別講演に、コカ・コーラ 東京研究開発センター プリンシパルエンジニアの岩下寛昌氏が登壇。「コカ・コーラの考えるパッケージデザイン−飲料におけるパッケージの重要性と容器デザインの考え方−」をテーマに、飲料パッケージのデザイン、開発における重要な視点や要素などを紹介した。 - 5つの検査を1台で実施、省スペース化に対応する飲料製造ライン向け外観検査装置
ニデックパワートレインシステムズは、飲料製造ライン向けの外観検査装置「実瓶外観検査装置」を発売した。検査ラインの5つの工程を1つに統合しており、ラインを省スペース化できる。 - 島津製作所が食品/飲料メーカーの製品開発や研究を支援するラボ開設
島津製作所は、農業・食品産業技術総合研究機構と共同で、食品、飲料メーカーの製品開発や研究を支援する「NARO島津テスティングラボ」を開設した。食品、飲料メーカーの研究者はラボに設置された最新の分析機器を研究に利用できる。 - 「自動化とデジタル化の黄金時代」とシーメンス、半固体電池メーカーとの協業も
「今まさに、自動化とデジタル化の黄金時代が到来している」――。ドイツのSiemens(シーメンス)は世界最大級の産業見本市「HANNOVER MESSE(ハノーバーメッセ)」(2023年4月17〜21日)で最新の自動化、デジタル化技術を紹介し、現在の社会課題を背景に、産業界での導入が加速していると強調した。 - 飲料製造に高度な自動化と品質を、オムロンがキリンテクノシステムに出資
オムロンは2022年10月18日、キリンビールの子会社である飲料検査機大手のキリンテクノシステム(KTS)に出資すると発表した。キリンビールが保有するKTSの発行済み株式の内60%をオムロンに譲渡し、KTSはオムロンの連結子会社となる。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.