パナソニックHDは北米車載電池を重点強化、3拠点目を新設し2030年度に200GWhへ:製造マネジメントニュース(3/3 ページ)
パナソニック ホールディングスは、グループ戦略を発表。環境コンセプト「Panasonic GREEN IMPACT」をより具体化して取り組みを進めていくとともに、重点領域として「車載電池」「空質空調」「サプライチェーンマネジメント(SCM)ソフトウェア」などを位置付け、積極的な投資を進めていく方針を示した。
空質空調とSCMソフトウェアも重点投資領域として強化
空質空調も重点投資領域として強化する。気候変動対策が進む欧州でAir-to-Water(ヒートポンプ式温水給湯暖房機)、チラーを拡大する。Air-to-Water事業基盤の強化として、欧州域内で開発、製造、販売を完結できる体制構築を進める。家電事業で活用していたチェコ工場を転用し2025年度までに55万台の生産能力を確立し、将来的には100万台の生産体制を確保する計画だ。欧州冷媒規制への早期対応も進める他、Systemair ABの空調事業買収したシナジーの拡大に取り組む。
2023年5月10日に追加投資を発表したSCMソフトウェアも重点投資領域と位置付ける。「ブルーヨンダーの強みを生かして、まずはR&D強化による商品力強化と顧客接点強化を進め事業基盤を強固にする。加えて、現場データをリアルタイムに取り込みSCMソフトウェアとの連携により自律化ソリューションを実現する」と楠見氏は述べている。
事業ポートフォリオの再編も中長期的視野で進める
2年間競争力強化を優先し、事業ポートフォリオの大きな変更については避けてきたが、2023年度からは再編についても検討を進めていく。「将来にわたって社会や顧客への貢献を果たし続けるために、グループ共通戦略との適合性と、事業立地や競争力の観点から見直しを進めていく。定量的、定性的の両面で総合的に判断する」と楠見氏は述べている。
再編を進める中で、パナソニックグループ全体が目指す「地球環境問題の解決」と「一人一人の障害の健康、安全、快適」への2つの方向性に全ての事業が関わるようになるようにする。楠見氏は「従来の事業ポートフォリオの見直しについては、棄損(きそん)した事業をカーブアウトするケースが多かったが、もっと中長期的視野に立って行う。画一的に外に出すだけではなく、事業会社間で構成を組み替えるケースや、グループ外のリソースと組み合わせることで伸びるケースなど、さまざまな処方箋が考えられる。数字を追いかけるためだけに事業をやっているわけではない。250年の計(※)に立った時に、必要な事業であるか、そのための競争力があるか、中でやった方かいいのか、外でやった方がいいのか、そういう基準で見たときにどうなのかを判断していく」と考えを示している。
(※)250年計画:創業者である松下幸之助氏が1932年に発表し、「物と心が共に豊かな理想の社会」を250年で実現することを目指した考え。1節を25年とし、10節(10世代)で実現するということが示されている
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