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高出力化するxEVや産業機器の熱課題を解消する新たな高熱伝導性多層基板用フィルム材料技術

パナソニック インダストリーは、高出力化するxEVや産業機器の熱課題を解消する新たな高熱伝導性多層基板用フィルムとして「R-2400」を開発した。

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 パナソニック インダストリーは2023年5月15日、高熱伝導性多層基板用フィルム「R-2400」を開発したと発表した。

優れた樹脂流れ性で高熱伝導材料の多層基板への適用を可能に

 R-2400は、無機フィラー設計のノウハウを活用した高熱伝導化技術により、電子回路基板全体の放熱性を向上させ、パワー半導体の発熱緩和に寄与する。これにより、放熱フィンや冷却ファンなどの熱対策部品点数の削減も可能なため、機器の小型化に役立つ。


高熱伝導性多層基板用フィルム「R-2400」[クリックで拡大] 出所:パナソニック インダストリー

熱伝導率の比較[クリックで拡大] 出所:パナソニック インダストリー

 無機フィラーと絶縁樹脂を最適なバランスで配合設計を行い、優れた樹脂流れ性も実現し、従来は回路充填性や絶縁信頼性の面で困難とされていた高熱伝導材料の多層基板への適用が可能となった。将来は部品内蔵や厚銅回路への応用展開により機器のさらなる小型化にも貢献する見込みだ。また、一般的な電子回路基板の加工設備での加工が可能なことから、工程負荷の低減が期待できるとともに、プリプレグの組み合わせによる一括成型に対応する。


R-2400の優位性:多層化による基板の小型化(断面図)[クリックで拡大] 出所:パナソニック インダストリー

部品内蔵用途での活用(断面図)[クリックで拡大] 出所:パナソニック インダストリー

 加えて、同社独自の樹脂設計/配合技術により材料の高耐熱化を実現しているだけでなく、パワー半導体の発熱に耐え、車載など、高温環境下での使用に応じる。なお、同社のハロゲンフリーガラスエポキシ多層基板材料「R-3566D(UL定格温度150℃取得)」との併用も可能だ。

 用途としては、熱対策が求められる基幹電源部品(車載用充電器、鉄道用電源、太陽光発電用パワーコンディショナー、インバーター、昇圧コンバーターなど)用多層基板、部品内蔵基板などを想定している。


「R-2400」と「R-1566」の特性表[クリックで拡大] 出所:パナソニック インダストリー

開発の経緯

 近年、環境問題への関心の高まりから電動自動車(xEV)の普及が進んでいる。電動自動車のエネルギー効率向上のために、電池/電源部/駆動部のさらなる高出力化が進むことでSiC(シリコンカーバイド)やGaN(窒化ガリウム)といった次世代パワー半導体のニーズが高まり、機器の熱マネジメントが大きな課題となっている。電動自動車の航続距離の向上、車室空間の拡張による快適性向上のために、電源部や駆動部の軽量化/小型化が求められている。

 そこで、同社は業界初だという2.7W/m・K(ワット毎メートル毎ケルビン)の高い熱伝導性と、基板の多層化を可能とする優れた樹脂流れ性を両立した高熱伝導性多層基板用フィルムのR-2400を開発した。

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