パナソニックのデバイス事業、FAやEVリレーなどコア4事業で年平均8%成長へ:製造マネジメント インタビュー(1/3 ページ)
パナソニック インダストリーは2022年6月6日、代表取締役 社長執行役員 CEOの坂本真治氏が報道陣の合同インタビューに応じ、同年6月1日に発表した新体制での中期目標(2025年3月期まで)の内容について説明を行った。
パナソニック インダストリーは2022年6月6日、代表取締役 社長執行役員 CEOの坂本真治氏が報道陣の合同インタビューに応じ、同年6月1日に発表した新体制での中期目標(2025年3月期まで)の内容について説明を行った。
社会的ニーズがあり差別化を行える4つのコア事業
パナソニックグループでは、2020年4月にパナソニック ホールディングス傘下に事業を行う事業会社を置く持ち株会社制へと移行(パナソニック内では事業会社制と呼称)。パナソニック インダストリーは旧パナソニック インダストリアルソリューションズ社を母体としているが、1次電池事業、円筒形リチウムイオン電池事業などを切り出し、それ以外の主に電子部品を基軸としたデバイス事業展開を行っている。
2021年度(2022年3月期)の売上高は、前年度比1兆1314億円、営業利益は同425億円増の832億円となっている。2022年度(2023年3月期)についても、売上高については同1%減の1兆1200億円と微減の見込みだが、営業利益は同68億円増の900億円を見込んでいる。全体的に順調な成長が予測される状況だ。
パナソニック インダストリーの現状について、坂本氏は「従来の取り組みの中では基盤事業と課題事業を区分して整理し、それぞれで対応を進めてきた。収益性や市場性などで問題のある課題事業については、整理などを進め、主な方向性についてはめどが立ったと考えている。一方で基盤事業の中では、その中でのカテゴリーをさらに見極め、企業の顔となる製品分野を取りまとめてきた」と語っている。
2024年度の中期目標としては、売上高は1兆3000億円(2021年度比2000億円増)、調整後営業利益率は12%以上(同4ポイント増)を目指す。また、EBITDAマージン17%以上(同4ポイント増)、フリーキャッシュフロー800億円以上(同644億円増)、累積営業キャッシュフロー3900億円以上(2019〜2021年度比1626億円増)、ROIC(投下資本利益率)20%(2021年度比7ポイント増)なども経営指標として挙げている。
これらの成長のカギとして位置付けているのが「コア事業」である。坂本氏は「基本的には現在展開している事業は全て基幹事業だが、会社を代表するカテゴリーとして選んだ4つの事業が『コア事業』という位置付けだ。選定の基準としては、市場を見せて業界平均以上の成長が見込めるかという市場性や社会的ニーズの面からのポイントと、その中で差別化ができるかというポイントで考えている」とコア事業の位置付けについて述べている。
その視点から選んだのが「FAソリューション」「電子材料」「EV(電気自動車)リレー」「コンデンサー」の4つの事業だ。「社会要請が強く継続的進化が求められる領域として工場省人化、情報通信インフラ、車載・CASEがある。これらの3つの領域に貢献できる領域として4つの事業をコア事業と位置付けた」(坂本氏)。
FA分野は中国を基軸にソリューションで成長を狙う
「FAソリューション」は工場省力化ニーズの高まりから、特に中国市場を中心に成長。高シェアを持つ小型サーボモーターを軸にIoT(モノのインターネット)接続支援などソリューション事業拡大に取り組んでいく。ただ「コアとなるのは小型サーボモーターだが、パナソニック製のデバイスを使わなくても顧客の課題解決につながるソリューションを作り上げていく。IoTなどを活用したスマート工場化が進む中でマシンビルダーや中堅設備メーカーなどをターゲットとし、容易に上位システムとつなげることができるパッケージなどを展開する」(坂本氏)。
特に小型サーボモーターで高シェアを持つ中国市場を中心として成長を進める計画であり、意思決定などの迅速化を進めるために2022年4月にビジネスユニット(BU)を設立。さらに2023年4月に同BUに製造拠点も移管し、製造、開発、販売を全て中国で判断できる体制とする。「いちいち日本が入って意思決定をするスピード感では勝てない。中国で意思決定が完結する形とする」(坂本氏)。
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