オリンパス相模原物流センターにおける自動倉庫導入の舞台裏(前編):物流のスマート化(3/3 ページ)
オリンパスの主力国内物流拠点である相模原物流センターは自動倉庫導入により業務効率化を果たした。本稿では、自動倉庫導入の背景や自動倉庫システムと併せて取り入れた工夫、プロジェクトの進め方などについて前後編に分けて紹介する。
作業者への負担を減らす工夫
バケット自動倉庫は、出荷頻度が高い製品の作業効率化を目的に導入した。AutoStoreで扱うSKU数が約2000に対して、バケット自動倉庫は約200と少なく保管効率は低い。しかし、出庫能力はAutoStoreの作業者4人で1時間当たり450行に対して、バケット自動倉庫は作業者3人で1時間当たり470行なので、1人当たりの作業効率は約1.4倍になる。
なお、AutoStoreとバケット自動倉庫におけるピッキング作業は、動作経済法則の基づき作業者への負担を減らす工夫が凝らされている。AutoStoreでは、ポートに搬送されたビンから製品をピッキングし搬送用ビンに移し替える作業では、ビンの高さをほぼそろえるとともに、作業者の体のひねりを90度以内にとどめるようにしている。さらに、バケット自動倉庫の場合は作業者の体のひねりはほぼ0度で済むようになっている。作業で使用するタッチパネルを操作するタッチペンなどの治具配置についても「取りやすくする以上に、戻しやすくする」(原氏)といった工夫を取り入れている。
自動倉庫であるAutoStoreとバケット自動倉庫から出庫された搬送用ビン、自動倉庫に保管していない出荷頻度の少ない製品などを作業者が人手でピックアップして移し替えた搬送用ビンは、コンベヤーでユニシャトルに送られる。ユニシャトルは、これらピッキングを完了した搬送用ビンを、出荷の締め時間順に自動並び替えして排出する順立ての機能を持つ。
ユニシャトルで順立てされた搬送用ビンは14本ある梱包ステーションに送られる。梱包ステーションにはそれぞれ1人ずつ作業者が付き、出荷箱への梱包やラベル貼り付けなどを行って、トラックへの受け渡し口に移送するコンベヤーに載せられる。梱包ステーションの作業では、搬送用ビンからピッキングした製品のバーコード読み取りをスーパーマーケットのレジと同じ方式で行えるようにして、バーコードリーダーを持たずに両手が空いた状態で作業が可能になっている。
AutoStore、バケット自動倉庫、ユニシャトル、梱包ステーションを経て出荷される製品のほとんどは小口の消耗品である。原氏は「顧客との間で消耗品は受注当日に出荷することを約束しているが、倉庫の自動化によって達成することができた」と述べている。
後編では、約5年にわたった自動倉庫導入プロジェクトの進め方を解説するとともに、物流業界の2024年問題に対してオリンパスが検討している取り組みなども紹介する。
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