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オリンパス相模原物流センターにおける自動倉庫導入の舞台裏(前編)物流のスマート化(2/3 ページ)

オリンパスの主力国内物流拠点である相模原物流センターは自動倉庫導入により業務効率化を果たした。本稿では、自動倉庫導入の背景や自動倉庫システムと併せて取り入れた工夫、プロジェクトの進め方などについて前後編に分けて紹介する。

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AutoStore、バケット自動倉庫、ユニシャトルを導入

 倉庫の自動化で導入した設備は、AutoStoreとバケット自動倉庫、ピック完了品の順立てを行うユニシャトルの3つに分けられる。AutoStoreは、保管可能箱(ビン)数が1万3685個で、出庫能力は作業者4人で1時間当たり450行。一方、バケット自動倉庫は、保管可能箱数が4240個で、出庫能力は作業者3人で1時間当たり470行となっている。「AutoStoreは単位面積当たりの保管効率と作業効率の両立を、バケット自動倉庫は出荷頻度の高いアイテムの作業効率化を重視して導入した」(原氏)という。また、AutoStoreとバケット自動倉庫と直結するユニシャトルは、梱包作業者にプッシュ型でジャストインタイム供給を行うためにピック完了品を締め時間順に自動並び替え排出する機能を備えており、格納可能箱(コンテナ)数は616個となっている。

3種類の自動倉庫を導入
3種類の自動倉庫を導入[クリックで拡大] 出所:オリンパス

 これら3種の自動倉庫のWCS(倉庫制御システム)は、これまで利用していたオリンパス内製のWMS(倉庫管理システム)と連携できるよう新たにシステムを構築した。また、従来は作業者が棚まで移動して製品をピックアップするPTG(Person to Goods)に基づいた業務設計だったが、全面的な自動倉庫導入と併せて、作業者のもとにピックアップした製品が送り込まれるGTPに基づく業務設計に変更した。さらに、作業者の動作についても、動作経済法則を用いて無駄な動きが発生しないように工学的にデザインしたという。

自動倉庫を中心としたシステムの全体像と特徴
自動倉庫を中心としたシステムの全体像と特徴[クリックで拡大] 出所:オリンパス

AutoStoreはピッキングロボットによる自動化も検討

 ここからは3種類の自動倉庫がどのように運用されているのかを見ていこう。

 ロボット倉庫システムとして知られるAutoStoreは、高さ数mの格子状に組まれた「グリッド」が張り巡らされており、各グリッドには専用コンテナであるビンが高密度に格納されている。このグリッドの上面を何台ものロボットが走行しており、出庫するビンを吊り上げて、グリッドの外面に設置されている「ポート」に搬送する仕組みになっている。作業者は、ポートに搬送されてきたビンから指示に従って製品をピッキングして搬送用のビンに移し替える。

オリンパスの相模原物流センターに導入された「AutoStore」
相模原物流センターに導入された「AutoStore」。24台のロボットが製品の入った保管可能箱(ビン)をピックアップし、作業者のもとに搬送する[クリックで拡大]

 相模原物流センターのAutoStoreはグリッドの縦方向の段数が12段あり、24台のロボットが搬送指示に合わせてビンをピックアップする。ビンを積み上げるアルゴリズムは、搬送が完了したらそのまま順にビンを積んでいく方式になっており、これを繰り返していくと出庫頻度の高いビンが上側の段に、低いビンが下側の段に行くので、出庫効率を最適化できるようになっている。

AutoStoreは縦方向に12段のビンが積み上げられている
AutoStoreは縦方向に12段のビンが積み上げられている。上段側に出庫頻度の高いビンが来るようになっている[クリックで拡大]

 ポートは出荷作業用が4つ、製品の補充用が2つある。出荷作業用ポートのうち半分はピッキングロボットを用いた自動化に移行可能な構成にしてある。ただし、現時点では最適なロボットハンドを検討している段階であり、実際にロボットを活用するのはまだ先のことになりそうだ。

AutoStoreの出荷作業用ポート
AutoStoreの出荷作業用ポート。作業者の下に製品が移動してくる「GTP」が実現できている[クリックで拡大]

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