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内視鏡画像のクラウド活用で協業、オリンパスとコニカミノルタの狙い製造業がサービス業となる日(1/2 ページ)

国内医療業界におけるクラウド活用を進めるべくオリンパスとコニカミノルタが協業を発表。オリンパスの内視鏡用クラウドサービス「Vivoly+」への画像送信端末装置として、コニカミノルタが医療用画像連携装置「BlueGate」を提供することで、オリンパスの消化器内視鏡のデータを医療機関がさらに有効活用できるようにする狙いがある。

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 DX(デジタルトランスフォーメーション)を推進していく中で求められるものの一つがクラウドの活用だろう。自社サーバなどのオンプレミスなシステムに囲い込むのではなく、クラウド上にデータ置くことで高度な分析やAPI連携などが可能になることは広く知られている。しかし、製造業では設計や生産に関わるデータは機密性が高いことなどもあってクラウドの活用があまり進んでいないのが実情だ。

 製造業と同様にクラウドの活用が進んでいないのが国内の医療業界だ。電子カルテや診断画像をはじめとする患者の個人情報を扱っていることもあり、病院や医療施設外にデータを出すことには消極的だった。しかし、厚生労働省、経済産業省、総務省の3省が医療情報の保護に関するガイドライン(いわゆる3省2ガイドライン)を策定したことなどもあって、医療業界におけるクラウド活用は徐々に進展しつつある。

 国内医療業界におけるクラウド活用を進めるべく、内視鏡大手のオリンパスと画像診断機器やPACS(医用画像保存通信システム)を手掛けるコニカミノルタが2021年11月30日に協業を発表した。オリンパスの内視鏡用クラウドサービス「Vivoly+(ヴィヴォリープラス)」への画像送信端末装置として、コニカミノルタが医療用画像連携装置「BlueGate(ブルーゲート)」を提供することで、世界シェア70%といわれるオリンパスの消化器内視鏡のデータを医療機関がさらに有効活用できるようにするという狙いがある。

オリンパスマーケティングの梅本佳宏氏(左)とコニカミノルタジャパンの松尾剛氏(右)
オリンパスマーケティングの梅本佳宏氏(左)とコニカミノルタジャパンの松尾剛氏(右)。梅本氏の左側にあるオリンパスの内視鏡システムから、松尾氏の右側にある「BlueGate」を経て「Vivoly+」のクラウドとPACSにデータが格納される[クリックで拡大]

総合病院よりもクリニックで進むクラウド活用

 今回の協業に先駆けて2022年11月24日に発表されたオリンパスのVivoly+は、内視鏡画像をクラウドに格納するだけでなく、日本消化器内視鏡学会が推進するJED Projectで定義されたレポート様式に対応した内視鏡検査のレポート機能を搭載している。さらに、「撮影網羅性」と「記録画像としての適性」をチェックするAI(人工知能)を搭載しており、食道から十二指腸まで網羅的かつ適切に撮影できているかの確認を支援する機能も備えている。このようなAI機能は、内視鏡画像・レポート管理ソフトウェアとしては国内初となる。

「Vivoly+」によるAIサポート機能の画面
「Vivoly+」によるAIサポート機能の画面。撮影した内視鏡画像について、撮影画像の品質などの分析結果が得られる[クリックで拡大] 出所:オリンパス

 オリンパスがVivoly+の導入を積極的に推進しているのは、総合病院というよりも消化器内科医院や診療所といったクリニックである。オリンパスマーケティング 医療国内マーケティング本部 内視鏡マーケティング部 上部消化管内視鏡販売促進 課長の梅本佳宏氏は「診療科の多い総合病院は院内のIT化は進んでいるものの、クラウド活用はまだそれほど進んでいない。一方、クリニックは、扱う画像診断機器の種類が限定的なこともあり、総合病院よりもクラウド活用の取り組みは進んでいる」と語る。

 PACSを手掛けるコニカミノルタも、国内の医療業界におけるクラウド活用ではクリニックの方が進展が早いとみている。コニカミノルタジャパン ヘルスケアカンパニー IoT事業統括部 クリニック戦略部 部長の松尾剛氏は「2010年ごろから、クリニックを対象に電子カルテやPACSなどのクラウド化の取り組みを支援してきた。当社が展開する医療機関向けのクラウドサービス『infomity』の利用も広がっている」と述べる。

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