フランス電子棚札大手が日本市場に熱視線、コンビニ向けソリューション開発も:スマートリテール(2/2 ページ)
電子棚札大手のエスイーエス・イマゴタグ(SES-imagotag)は、日本法人の設立を発表するとともに、日本国内を中核としたアジア太平洋地域における事業展開を本格的に開始する方針を打ち出した。
小売り店舗のデジタル化で営業利益率を2〜3ポイント向上できる
グローバルGDPの20%を占めるなど産業分野として最大となる小売業だが、Eコマース市場の拡大やインフレ、価格競争、人材不足といったプレッシャーにさらされており厳しい状況にある。この小売業が抱えるさまざまな課題の解決に役立つのがデジタル技術だ。ガドゥ氏は「当社から完璧な解を提供できる。データドリブンな経営で自動化を進め、商品を厳格に管理することで、小売り店舗を工場のように展開できる」と説明する。
エスイーエス・イマゴタグは、同社のソリューションによって小売り店舗をデジタル化することで、最終的に営業利益率を2〜3ポイント向上できる可能性があるとしている。低収益であることが一般的な小売業の利益率は高くても数%であることを考えれば、利益率を倍増するレベルの効果があるといえる。さらには、小売り店舗だけでなく、商品を提供する消費財(CPG)メーカーの営業利益率を2〜3ポイント向上する効果も期待できるという。「消費財メーカーにとって、商品の売れ行きに関する情報を小売り店舗から得ることで最適な商品開発が可能になる。また店舗内広告メディアで来店客に効率良く商品を訴求することなどもできる。これらのデータ提供を収益化することで小売り店舗の収益率を押し上げられる」(ガドゥ氏)。
ただし、低収益の小売り店舗にとって、これらのデジタルソリューションを導入するための原資が少ないからこそ小売り店舗のデジタル化が進まない実情になっている。ガドゥ氏は「大型投資が必要な電子棚札からではなく、低コストで導入可能なAIカメラによる棚分析を行えるcaptanaなどから始めるのがよいだろう。実際に効果を実感してから、段階的に導入規模を広げてもらいたい」と述べる。
小売り店舗のデジタル化は、収益向上につながる価値創出だけでなく、世界的なサステナビリティ(持続可能性)課題の解決にも貢献する。エスイーエス・イマゴタグとして、現在のオンプレミスの電子棚札システムと比べて30〜40%のCO2排出量を削減できるソリューションを開発しており、これに、小売り店舗におけるローカルEコマースや廃棄物削減、ペーパーレスなどの効果が加われば、カーボンニュートラルにも大きく貢献できるという見立てだ。
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