三菱重工の2021事業計画は順調に推移、火力発電脱炭素化需要がけん引:製造マネジメントニュース(3/3 ページ)
三菱重工業は、2021〜2023年度を対象とした「2021事業計画」が一部を除き計画通りに進んでいることを明かした。
「ΣSynX」で冷凍冷蔵倉庫の工期短縮を実現
社会インフラのスマート化では、三菱重工が、三菱ロジスネクストとともに2021年に開発したデジタルソリューション「ΣSynX(シグマシングス)」の展開を推進する。
ΣSynXは、無人搬送フォークリフト(AGF)と倉庫内統合制御システム(WCS)に搭載することで、AGFの検知認識や自律制御、統合制御の機能を高度化する。既に、ΣSynXを用いた荷物の積み替えサービスであるピッキング・ソリューションに関しては、2022年からキリングループと共同で実用性を確かめるための実証試験を行っている。
ΣSynXを使用した物流施設向けのサービスで、2023〜2030年度までの期間で1500億円の売上高を上げ、2030年度に年間500億円の売上高を達成することを目標に掲げている。
ΣSynXや三菱重工の建設・運用データベース、総合エンジニアリング技術、冷熱シミュレーションによる運用分析を組み合わせて、冷凍冷蔵倉庫の新設計画に最適な設備と建屋を提案する取り組みも実施している。
例えば、この取り組みにより、2023年1月に竣工した京都塩星魚組合の冷凍冷蔵倉庫では、約1.5カ月の工期短縮を実現した。設備と運用の最適化も後押しし、冷却効率の向上と消費電力の低減も達成している。今後は、国内での事業拡大とともに、東南アジアをはじめとする海外の需要も視野に入れ、事業を展開する。
ΣSynXを使用した冷凍冷蔵倉庫向けのサービスで、2023〜2030年度までの期間で750億円の売上高を上げ、2030年度に年間150億円の売上高を達成することを目標に掲げている。
また、省エネや脱炭素化、安定運用が求められるデータセンターに向け、ΣSynXを使用し、良好な信頼性と高効率の電源、冷却システム、監視システム、統合制御システムをワンストップで提供することも構想している。この取り組みでは、データセンターのCO2排出量ゼロや稼働率99.999%、高電力使用効率をサポートし、2030年に1000億円の売上高を創出することを目指す。現在、KDDIやNECネッツエスアイとともに、ΣSynXを使った次世代冷却技術の実証を行っており、冷却電力を90%削減することにも成功している。
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