ニュース
封止構造ガラスフィードスルー、世界初の液化水素運搬船に採用:材料技術
SCHOTT(ショット)が製造する封止構造ガラスのフィードスルーが、川崎重工による液化水素運搬船「すいそ ふろんてぃあ」に採用された。二重封止で安全性を高め、電気信号と光学信号の両方の伝送を可能とする。
SCHOTT(ショット)は2023年3月9日、同社製の封止構造ガラスのフィードスルーが、世界初だという液化水素運搬船「すいそ ふろんてぃあ」に採用されたと発表した。
船舶の真空断熱システム向けに採用されたフィードスルーは、「小型Eternaloc S-Typeフィードスルー」と呼ばれるもので、SCHOTTとすいそ ふろんてぃあを建造する川崎重工で共同開発された。二重ガラスで真空気密封止され過酷な環境下でも安全性を保持し、電気信号と光学信号の両方の伝送を可能とする。
基本構造は、小型化されたハウジングに、ガラスと金属で二重封止された電気フィードスルーと、二重封止された光ファイバーのフィードスルーで構成されている。二重封止により、1つ目の封止材が破損しても、2つ目の封止によって水素の漏れを防ぐ構造になっている。
水素は非常に運搬が難しいことで知られているが、今回開発されたフィードスルーは、振動や地震などを想定したさまざまな検査を受け、極低温などの極限状態でもストレスに耐え、重要なシステムを維持でき、水素運搬に役立つことが確認されている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- ショット、マイクロ流体チップなどに用いるバイオ向けガラス基板の販売を強化
SCHOTT(ショット)は、成長著しい医療や生命科学の分野向けに、特性や厚さの異なるさまざまなガラス基板を取りそろえている。独自のマイクロレーザー構造化技術を用いてガラス基板を加工し、直径30μmの構造物を作ることが可能だ。 - 割れた自動車用ガラスを再び自動車用ガラスに、新車採用に向けて試験生産
Audi(アウディ)とReiling Glas Recycling、Saint-Gobain Glass、Saint-Gobain Sekuritは2022年4月25日、破損した自動車用ガラスを自動車用ガラスにリサイクルするパイロットラインを立ち上げたと発表した。さまざまなプロセスを経て接着剤などガラス以外の不純物を除去し、新たな自動車用板ガラスを生産する。パイロット生産が成功すれば、将来的にEV(電気自動車)「Q4 e-tron」のガラスに採用する。 - 2022年は国際ガラス年、科学技術と美術芸術の連携でガラスの可能性を示す
日本セラミックス協会と国際ガラス年日本実行委員会がオンラインで会見を開き、国際連合(国連)の定める「国際ガラス年2022」に関連する活動内容について説明した。 - ガラスの反響音を抑えた快適な空間を創出する、透明吸音パネルを開発
イトーキとピクシーダストテクノロジーズは、ガラスに貼れる透明吸音パネル「iwasemi HX-α」を共同開発した。人の声に含まれる500〜1000Hzの周波数帯に特化した吸音構造設計を採用し、ガラスに囲まれた空間で起こる反響音を抑える。 - 冷蔵庫ガラス扉をリサイクル可能に、パナソニックがレーザーを使った新工法開発
パナソニック ホールディングスは2022年11月9日、利用が広がる家電製品のガラス素材に対し、レーザー光を活用して効率的なリサイクルを可能とする工法を開発したと発表した。 - AGCが4KノートPC向けのAGガラスを開発、防眩性能を維持しつつギラツキを抑制
AGCは、「CEATEC 2022」において、AG(アンチグレア)ガラスの防眩性能を維持しながらギラツキを抑えた開発品を展示した。