割れた自動車用ガラスを再び自動車用ガラスに、新車採用に向けて試験生産:材料技術
Audi(アウディ)とReiling Glas Recycling、Saint-Gobain Glass、Saint-Gobain Sekuritは2022年4月25日、破損した自動車用ガラスを自動車用ガラスにリサイクルするパイロットラインを立ち上げたと発表した。さまざまなプロセスを経て接着剤などガラス以外の不純物を除去し、新たな自動車用板ガラスを生産する。パイロット生産が成功すれば、将来的にEV(電気自動車)「Q4 e-tron」のガラスに採用する。
Audi(アウディ)とReiling Glas Recycling、Saint-Gobain Glass、Saint-Gobain Sekuritは2022年4月25日、破損した自動車用ガラスを自動車用ガラスにリサイクルするパイロットラインを立ち上げたと発表した。さまざまなプロセスを経て接着剤などガラス以外の不純物を除去し、新たな自動車用板ガラスを生産する。パイロット生産が成功すれば、将来的にEV(電気自動車)「Q4 e-tron」のガラスに採用する。
サーキュラーエコノミー戦略の一環で、自動車用ガラスのクローズドループリサイクルに取り組む。自動車用ガラスに先行して、2017年からアルミニウム材のクローズドループリサイクルを実施している。パイロットラインでは、1年間かけて品質や安定性、コストをテストする。また、40トンの自動車用ガラスをリサイクルすることを目指す。
現時点では、破損した自動車用ガラスは、自動車用と比べて品質要求が緩やかな飲料ボトルや断熱材などにリサイクルされている。使用されなかった自動車の材料を新車生産ラインに再度投入できるようにすることで、ガラスであれば珪砂などの一次材料の資源を節約し、バリューチェーン全体を通じて環境への影響を低減する。リサイクルした場合、新しいガラスの製造と比べてCO2排出量を最大30%削減することができる。
自動車用ガラスのクローズドループリサイクルでは、フォルクスワーゲングループのディーラーに入庫した車両から、破損して修理不可能なガラスを回収するところからスタートする。
そのガラスをReiling Glas Recyclingで細かく砕いて処理する。その中で、合わせガラスの中間膜であるポリビニルブチラール(PVB)膜や窓枠、金属、暖房用のフィラメント、アンテナケーブルなどガラス以外の物質を、磁石や非鉄金属選別機、電気工学選別ユニットなどによって除去する。将来的には、PVB膜を自動車向け材料としてリサイクルすることも想定している。
除去作業を経たガラスの再生材は種類別に分類し、Saint-Gobain Glassに納入される。珪砂や炭酸ナトリウム、チョークなどと再生材を混ぜ合わせて、板ガラスとして生産する。再生材の比率は30〜50%だとしている。Saint-Gobain Sekuritでの追加工程を経て、自動車用ガラスとして生まれ変わる。
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