クルマ1台にペットボトル100本分のリサイクル素材、モーター3基の次世代4WDも披露:材料技術
Audi(アウディ)は2020年3月3日、オンライン上でフルモデルチェンジした「A3」の新モデルと、3モーターシステムによるハイパフォーマンス電気自動車(EV)「e-tron Sモデル」を発表した。
Audi(アウディ)は2020年3月3日、オンライン上で、フルモデルチェンジした「A3」の新モデルと、3モーターシステムによるハイパフォーマンス電気自動車(EV)「e-tron Sモデル」を発表した。
新型A3には、上位モデルで採用実績のあるインフォテインメントシステムや運転支援システムを取り入れた。パワートレインは欧州での販売スタート時は、排気量1.5l(リットル)のガソリンエンジンと、排気量2.0lのディーゼルエンジン(最高出力85kWと110kWの2タイプ)のみだが、異なる排気量のエンジンや、マイルドハイブリッドシステム、四輪駆動モデルを追加する計画だ。
また、新型A3の生産ではリサイクル素材の活用を強化し、ペットボトル由来のシートの布地を採用している。1つのシートに1.5lのペットボトルを最大45本使用する他、カーペットにもペットボトル62本分のリサイクル素材が使われており、使用するテキスタイルの最大89%がペットボトル由来となる。
ペットボトル由来のシート地は3種類あり、対象グレードの「デザインセレクション」では標準仕様として採用される。長期的には、全てのモデルシリーズのシート地をリサイクル原料で制作する予定だとしている。
現時点では、シート地はリサイクル可能な素材で100%カバーされているわけではない。「接着剤で上部素材に接着している織物素材のうち、下層部をリサイクル可能なポリエステルに置き換える作業を進めている」(アウディ)という段階だ。また、ペットボトル由来のリサイクルポリエステルは糸を製造する際にノズルを詰まらせやすく、製造コストが高いという課題もある。
EV時代の四駆は3モーターで
e-tron Sモデルは、フロントアクスルに1基、リアアクスルに2基の駆動用モーターを搭載し、合計で370kWの出力と973Nmのトルクを発揮する。時速0〜100kmの加速時間は4.5秒だ。アウディは「3基の駆動用モーターを搭載した世界初の量産EVになる」としている。
e-tron Sモデルのリアアクスルには、左右のリアホイールにトルクを完全可変配分する電動トルクベクタリング機能を搭載している。路面の凍結などで後輪のグリップが不足した場合、2基のモーター間でトルクを正確かつ迅速に再配分し、トラクションの高いホイールに駆動トルクを集中させる。2基のリアの駆動用モーターは、トランスミッションを介して駆動力を直接ホイールに伝える。
日常の走行ではリアの駆動モーターのみを使用し、ドライバーがより多くのパワーを必要とする場合にフロントの駆動用モーターが駆動する。後輪により多くの駆動トルクを配分し、スポーツカーのような走りを提供するとしている。
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