アウディが有機ELランプで新技術、光源を50以上に「分割」してデザイン向上:車載電子部品
アウディは、カスタマイズ可能な照明設計や、車外とのコミュニケーションを実現する次世代の有機EL照明技術を開発した。
アウディは、2019年9月23日からドイツ・ダルムシュタットで始まる自動車の照明技術に関するシンポジウム「International Symposium on Automotive Lighting(ISAL 2019)」において、次世代の有機EL照明技術を初披露すると発表した。有機ELにより、カスタマイズ可能な照明設計や、車外とのコミュニケーションが実現するとしている。
発表予定の新技術には、有機ELの光源を個別に通電される50個以上のセグメントに分割する開発成果が含まれるという。各セグメントは必要に応じてアクティブにでき、輝度の連続的な調整も可能だ。セグメントの間隔は最小化する。厚さ1mmのライトニングエレメントで、高いシステム効率を発揮するとしている。これにより、単一のハードウェアで多種多様な照明設計を行うことができ、デザイン性と部品の汎用性を両立できるという。
また、この技術を採用したリアランプに、決められたデザインのシンボルを表示することで、後方車両などにアイスバーンなどの警告を発するコミュニケーションも可能になるとしている。
アウディは2016年に「TT RS」のリアランプで有機ELを初採用した。また、「A8」のリアランプにも合計8枚の有機ELパネルを採用し、施錠と開錠に合わせて個別に点灯させるアニメーション効果を持たせた。有機ELランプの利点としては、リフレクターやライトガイド、光学部品が不要で軽量である点や、光が均質で、調光を連続的に変化させられる点などがあるという。
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