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LED素子300個なみの配光制御を12個で、ヘッドランプにブレードミラーを採用:安全システム
小糸製作所は2019年9月9日、トヨタ自動車の「レクサスRX」で新開発のヘッドランプ「ブレードスキャンADB」が採用されたと発表した。
小糸製作所は2019年9月9日、トヨタ自動車の「レクサスRX」で新開発のヘッドランプ「ブレードスキャンADB」が採用されたと発表した。ADBはAdaptive Driving Beamの略で、高速回転する2枚のブレードミラー(リフレクター)にLEDの光を照射し、光の残像効果を用いて前方を照射する方式だ。実用化は「世界初」(小糸製作所)だとしている。
ブレードスキャンADBは、ブレードミラーの回転に合わせて12個のLED素子の点灯、消灯を制御することにより、300個のLED素子を使用するのと同等の高精細な配光を実現するという。対向車や前走車に対する遮光範囲を極めて小さくし、ハイビームの照射範囲を広げて車両の近傍や車両間のスペースにヘッドランプを照射することができるため、歩行者の早期発見などにつながるとしている。
一方、対向車や前走車に合わせて部分的に消灯する従来型のヘッドランプは、複数のLED素子を個別に点灯、消灯して配光を制御しているため、遮光範囲の細かさに限界がある。
ヘッドランプはより高度な配光制御の実現が開発テーマの1つとなっている。市光工業は、大型プロジェクターに使われるデジタルマイクロミラーデバイスを採用し、ピクセル単位で点灯、消灯するヘッドランプを開発中だ。周囲の車両のドライバーが幻惑しないようにするだけでなく、車両の進行方向や道路の速度制限といった情報を路面に照射したり、歩行者との意思疎通に使ったりできる機能を持たせていく。
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