ヘッドランプにデジタルマイクロミラーデバイス、路面に図形や文字を描画:安全システム
市光工業は「人とくるまのテクノロジー展2018」において、ピクセル単位で配光を制御するヘッドランプ「HD ライティング」を世界初公開した。
市光工業は「人とくるまのテクノロジー展2018」(2018年5月23〜25日、パシフィコ横浜)において、ピクセル単位で配光を制御するヘッドランプ「HD ライティング」を世界初公開した。LEDを部分的に消灯することにより路面に図形などを描き、歩行者や先行車両に意思表示する。2022年ごろの製品化を目指す。
現在、先行車両や対向車両のドライバーが幻惑しないようにハイビーム状態から部分的に消灯する技術を自動車メーカー各社が量産モデルに採用している。市光工業が出展した技術はデジタルマイクロミラーデバイス(DMD)により、こうした機能よりもさらに細かく配光を制御する。
デジタルマイクロミラーデバイスは大型プロジェクターなどに採用されているMEMSデバイス。多数の可動式マイクロミラーを配列し、マイクロミラー1枚が1画素に相当する。他車両のドライバーの幻惑を防ぐ従来の制御は大まかな区切りで配光していたが、車両の形に合わせて消灯することが可能になる。
HD ライティングにより、ドライバー向けの情報表示や車外への意思表示をヘッドランプで行えるようにする。ドライバーに向けては、車線の幅員やカーブの方向などを記号で示したり、制限速度などを路面に投影したりすることができる。車外とのコミュニケーションでは、追い越しやすれ違いで自車の進路を示す他、歩行者向けに横断歩道を表示して道を譲るなどの使い方が可能だという。先行車両や対向車両のドライバー、歩行者がまぶしさを感じないように部分的に消灯する制御もより細かく行える。
製品化に向けては、デジタルマイクロミラーデバイスの信頼性の確保や、車内外から見やすい明るさの検討、法規制への適合などを進めて行く。
市光工業の説明員によれば、競合のランプメーカーがヘッドランプで路面に描画する技術を用いた製品を2018年にも量産を始めるという。また、複数の自動車メーカーが周囲とコミュニケーションをとるためにヘッドランプで目のような動きを演出するコンセプトカーを発表している。よりきめ細かいヘッドランプの配光制御技術に注目が集まりそうだ。
関連記事
- ヘッドランプ進化の歴史、シールド式からハロゲン、HID、LED、そしてレーザーへ
自動車が夜間走行する際に前方を照らすとともに、その存在を他の車両や歩行者に知らせる役割も果たすヘッドランプ。かつて北米で義務付けられていたシールドビーム式から、ボディ内部に格納できるリトラクタブル式、ハロゲン、ディスチャージ、近年採用が拡大しているLED、そして次世代技術のレーザーまでを総ざらえする。 - 車載ヘッドアップディスプレイの表示面積が倍以上に、画質は映画館レベル
Texas Instruments(TI)は、車載ヘッドアップディスプレイ(HUD)向けのDLPチップセット「DLP3000-Q1」を発表。HUDの表示面積などに関わるFOV(Field of View)が横方向で12度、縦方向で4度と広いことを特徴としている。 - ドライバーの意思をもっと分かりやすく伝えたい、LEDで路面にクルマの動きを表示
三菱電機は車両の後退やドアが開くことを光で知らせる技術「安心・安全ライティング」を開発した。車両に注意喚起のマークを表示したり、路面に車両の挙動を示す図形を投影したりする。2020年度以降の事業化を目指す。 - マツダが「アクセラ」に自動運転技術を搭載、新世代自動ハイビームも
マツダは、「CEATEC JAPAN 2014」において、夜間走行におけるドライバーの認知支援を強化する新世代ヘッドランプ技術「アダプティブ・LED・ヘッドライト(ALH)」と、同社独自の自動運転技術を搭載した「Mazda3 自動走行システム搭載車」を出展すると発表した。 - マツダ「デミオ」など5モデル、自動ブレーキや誤発進抑制などを標準装備に
マツダは、先進安全技術「i-ACTIVSENSE」をほぼ全ての新世代商品で標準装備とする。対象となるのは、「デミオ」「アクセラ」「アテンザ」「CX-3」「CX-5」の5モデル。 - スタンレー電気が次世代ランプを披露、「SIM-CEL」のレーザー前照灯を搭載
スタンレー電気は、「第43回東京モーターショー2013」において、ヘッドランプ/リヤランプの次世代技術を示す「スタンレー・ライティング・ラボ」を展示した。シムドライブが開発した電気自動車「SIM-CEL」に搭載されている「レーザー前照灯」をはじめ、同社の最新技術が詰め込まれている。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.