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使用済みリチウムイオン電池のリサイクルは今、どうなっているのか今こそ知りたい電池のあれこれ(10)(1/3 ページ)

今回から数回にわたり、原料の再資源化(リサイクル)や電池の再利用(リユース)といった「持続可能な開発」のために希少な資源をいかに有効活用していくかといった技術や取り組みについて解説していきたいと思います。

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 2022年となり、本連載「今こそ知りたい電池のあれこれ」も2年目を迎えました。

 2021年はMONOist オートモーティブ 年間ランキング2021において、この連載から2位に「なぜリチウムイオン電池は膨らむ? 電解液を劣化させる「過充電」「過放電」とは」、3位に「リチウムイオン電池で発熱や発火が起きる要因を整理しよう」がランクインするなど、多くの皆さまに読んでいただき、誠にありがとうございます。

 今後も何かのお役に立つかもしれない「電池のあれこれ」をささやかながらも発信していければと思いますので、本年もどうぞよろしくお願いいたします。

→連載「今こそ知りたい電池のあれこれ」バックナンバー

リチウムイオン電池は誰が回収しているのか

 近年、世界規模でSDGs(持続可能な開発目標)に向けた取り組みが進められる中、電気自動車(EV)へのシフト、再生可能エネルギーや蓄電技術の活用など、電池技術への関心も高まり、リチウムイオン電池の使用量が増加しています。

 リチウムイオン電池の正極材料にはコバルト、ニッケル、リチウムといった希少な金属資源が使用されているため、今後のリチウムイオン電池の需要拡大に伴い、原材料の需給が長期的に見たときに逼迫(ひっぱく)するのではないかという懸念の声も上がっています。

 そこで今回から数回にわたり、原料の再資源化(リサイクル)や電池の再利用(リユース)といった「持続可能な開発」のために希少な資源をいかに有効活用していくかといった技術や取り組みについて解説していきたいと思います。

 一般ユーザーの皆さまが普段の生活の中でお使いの小型リチウムイオン電池については、電池メーカーや機器メーカー、輸入事業者などによる回収とリサイクルが行われています。

 2001年4月に施行された「資源有効利用促進法」において、関連会社に小型充電式電池の回収、再資源化などが義務付けられ、JBRC(Japan Portable Rechargeable Battery Recycling Center)が発足しました。

 現在、約350の法人がJBRCの会員となり、全国的に小型充電式電池のリサイクル活動を推進しており、リサイクルマークがついているJBRC会員企業の製品については全国各地の協力店にて持ち込みを受け付けています。各協力店はJBRCの公式Webサイトで確認することができます。

 使用済み小型充電式電池の処分方法は、対象となる機器、住んでいる自治体、電池の状態などによって異なります。例えば、携帯電話やスマートフォンの内部に組み込まれている電池についてはJBRCの回収対象外ですが、携帯電話メーカーと通信事業者が設立したモバイル・リサイクル・ネットワーク(MRN)によって携帯電話本体ごと携帯電話ショップなどでの回収が行われています。

 また、電池を取り外すことが難しいその他の小型家電などについても、自治体によっては専用の回収窓口が用意されている場合があります。

 その一方で、リサイクルマークがついていないもの(JBRC会員企業以外の製品)、解体・分解したもの、水没したもの、劣化して膨らんでしまったものなどはJBRCの回収対象外となっており、お住まいの環境によっては容易に処分する手段がない場合もあります。

 現在使用している製品がJBRC会員企業のものか、また、メーカー自主回収窓口の有無やお住まいの自治体におけるごみの回収区分などJBRC回収対象外の電池を処分する手段があるのか、事前に確認しておくとよいでしょう。

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