2022年は国際ガラス年、科学技術と美術芸術の連携でガラスの可能性を示す:材料技術
日本セラミックス協会と国際ガラス年日本実行委員会がオンラインで会見を開き、国際連合(国連)の定める「国際ガラス年2022」に関連する活動内容について説明した。
日本セラミックス協会と国際ガラス年日本実行委員会は2022年1月6日、オンラインで会見を開き、国際連合(国連)の定める「国際ガラス年2022」に関連する活動内容について説明した。【訂正あり】
国連は、特定分野の活動について国際社会への貢献を周知、促進するために、1959年から毎年「国際年」を宣言している。2022年については、人類文明の発展とともに歩んできたガラスという素材をたたえる年とすべく、世界各国から1600件を超える賛同書が寄せられ、2021年5月の国連総会で「国際ガラス年2022」の決議案が採択された。なお、人工的に作られた物質が国際年のテーマとして採択されるのはガラスが初めてだという。
国際ガラス年2022では「ガラス材料およびガラス産業の過去、現在、未来をたたえ祝福すること」「ガラスの化学と芸術と文化に関わる世界のさまざまなイベントに取り組むこと」「産学のガラス研究、ガラスに関わる博物館や美術館の取り組みにより、世界中のあらゆる地域における持続性のある発展に貢献すること」「次世代を担う若手のためのガラスの科学と工学、ジェンダーの平等、発展途上国の要求に対する取り組みを支援する国際協調の枠組みを作ること」を目的としている。2022年2月10〜11日にスイスで開催される「国際開会式」を皮切りに、1年間を通じて世界各地でさまざまなイベントが行われる予定だ。
日本国内では、2022年1月28日にオンライン開催の「日本オープニングセレモニー後援会」、同年6月1日〜8月32日に「ガラスの無い世界・ある世界」をテーマにした画像と動画コンテストが行われ、12月8〜9日には国連や国際ガラス委員会の関係者を招待して、国内外からの招待講演を行う「国際閉会式」を東京大学の安田講堂で実施する予定だ。これらのイベントは、国際ガラス年日本実行委員会が主催し、文部科学省が後援する。
また、国際ガラス年2022を迎えて、国際ガラス年2022日本実行委員会のWebサイトもリニューアルした。国内向けイベントの詳細も同Webサイトで紹介している。
「日本はガラス技術大国」
世界全体のガラス産業の中で日本の果たしている役割は大きい。板ガラスや光ファイバーでは世界をけん引する企業が存在しており、国際ガラス委員会内で活動する27の技術委員会のほぼ全てで日本の研究者、技術者が参加し、貢献しているという。
国際ガラス年日本実行委員会の委員長を務める京都大学 教授の田部勢津久氏は「日本はガラス技術大国であり、国際ガラス年2022の活動に大きく貢献できる。ガラス産業はさまざまな分野に分かれた形で活動をすることが多かったが、国際ガラス年2022では、科学技術分野と、ガラス工芸品をはじめとする美術、芸術の分野で連携することになっている。これをきっかけに、ガラスの持つ可能性を多くの方々に知ってもらいたい」と述べている。
【訂正】会見主催者からの申し入れにより、田部勢津久氏の会見中の顔写真を、会見主催者から提供された国際ガラス年日本実行委員会メンバーの会見後撮影写真に変更しました。
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