パナソニック コネクトがジョブ型雇用を導入、2023年4月から国内全社員に適用:製造マネジメントニュース(2/2 ページ)
パナソニック コネクトがパナソニックグループの事業会社制導入に併せて改革を進めている人事制度について説明。2023年4月からジョブ型雇用に切り替える。部分的導入ではなく、国内の1万218人の全社員を対象に一斉導入する方針だ。
職種ごとに市場に合わせた違いを反映し、報酬カテゴリーを3つに分ける
新たな人事制度では、「従業員の自律・成長」を中心に置き、それを「ジョブ型人材マネジメントによるエコシステム構築」が支えて、企業成長に当たる「コネクトの成長」につなげるという成長サイクルを生み出すことを目指している。「従業員の自律・成長」では「thriving(スライビング)」(thriveの意味は、健康に育つ、富む、繁栄する、目標に向かって前進するなど)をキーワードに掲げた。新家氏は「ウェルビーイングにとどまらない、社員一人一人の自立的/自律的な学習、成長、挑戦による成功を、パーパス実現の原動力にする」と強調する。
「ジョブ型人材マネジメントによるエコシステム構築」は、ジョブ型雇用の全社員一斉導入に加えて、管理職と非管理職の境界撤廃、若手優秀者の抜てき、職種別報酬体系、これらの各制度が有機的につながるメカニズムなどから構成されている。ジョブ型雇用のベースとなるジョブディスクリプションは、事業戦略に基づいて約1400種類を設定。これによって個人の貢献価値を明確化し、キャリア機会の提示、自己学習の促進、公募による登用などを行いやすくする。
報酬水準についても、現行制度では社内で異なる職種間で公平性を担保するとともに、同じ報酬カテゴリーの中で年齢や勤続年数に基づく等級で決まっていたが、新制度では職種ごとに市場に合わせた違いを反映し、報酬カテゴリーも3つに分ける。なお、報酬が高いカテゴリーの職種はコンサルティング/プロジェクトマネジメント、報酬が低いカテゴリーの職種は製造などが当たるという。ただし、同じ報酬カテゴリー内でも年齢や勤続年数に関係なく報酬を定める方針であり、挑戦に報酬で報いる環境が用意されるので「製造部門だから報酬が低い」ということにはならないとしている。
この報酬の決定権については、評価記号と一律支給テーブルに基づく現行制度から一線を画し、マネジメント職に当たる組織責任者が決定できるように大幅な権限委譲を行う。「ジョブディスクリプションを参考に目標を設定するが、最も重視しているのは期中に行う1on1の対話だ。日頃から成果発揮やキャリア実現に向けた取り組みをしっかりすり合わせしていく」(新家氏)。
さらに、ジョブ型雇用における成長に必要な学習制度を強化すべく、パナソニック コネクト独自のラーニング機関として「CONNECTers Academy」を新設する。新家氏は「本人主体のラーニングカルチャーへの変革を目指すもので、単なる研修機関ではない」と述べる。
新たな人事制度ではマネジメント職への権限委譲を進めることになるが、それと同時にマネジメント職が果たすべき責任も高まる。現在、パナソニック コネクトでは国内に約1400人のマネジャーが在籍しており、2023年度からの新たな人事制度導入に向けて2022年度に約30時間の研修を実施しており、マネジャーの力量向上も図っている。「現行制度ではマネジャーの裁量に任せる部分が多かったが、今後は単なる管理の枠を超えたピープルマネジメントやコーチングなどの技能強化を進めるためにマネジャー向けの研修は継続する」(新家氏)としている。
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