東京都は2023年1月20日、都営バス58両をバイオ燃料で運行すると発表した。運行ルートは小滝橋自動車営業所(東京都中野区)管内の7路線で、高田馬場駅と上野公園を結ぶルート、新宿駅と都庁を循環するルートなどが該当する。運行期間は2023年1月25日から1カ月程度を予定している。
東京都は「電力のHTT(減らす、創る、ためる)」「ゼロエミッション東京」の実現に向けた対策を進めている。この一環で東京都とユーグレナは、さまざまなモビリティでのバイオ燃料の活用や、バイオ燃料の普及啓発に関する協定を2022年10月31日に結んだ。この協定を受けて既に、イベント向けの電源供給車や屋形船などでバイオ燃料「サステオ」を使用した。
サステオはユーグレナが製造、販売するバイオ燃料で、使用済みの食用油や微細藻類のミドリムシから抽出した油などを原料としている。燃料として燃焼するときにはCO2を排出するが、原料の植物やミドリムシの成長過程でCO2を吸収するため、CO2排出量を相殺できるとしている。
2023年1月19日には、マツダがユーグレナの次世代バイオ燃料の普及拡大に向けた事業をサポートするため、ユーグレナが発行する無担保転換社債型新株予約権付社債を引き受けることを決定したと発表した。
ユーグレナはバイオ燃料事業の商業化と普及拡大のため、マレーシアにおいてバイオ燃料製造プラントを建設、運営するプロジェクトを海外エネルギー大手のPETRONASやEniと共同検討している。マツダが社債を引き受けることで調達した資金はこのプロジェクトに充てられる。プラントはマレーシア ジョホール州の製油所であるPengerang Integrated Complexに建設される予定で、航空機用から自動車、鉄道、船舶用まで各製造量を柔軟に調整する設備を備えるという。2025年の完成に向けて、2023年中に最終的な投資を決定する。
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