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ミドリムシ成分使用のバイオマスプラスチック、量産化に向けて始動材料技術(1/2 ページ)

 ユーグレナは2021年3月29日、ミドリムシの特異的な貯蔵多糖類を原料とするバイオマスプラスチック「パラレジン」の技術開発や普及促進を目的とする「パラレジンジャパンコンソーシアム」を設立すると発表した。

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 ユーグレナは2021年3月29日、ユーグレナ(ミドリムシ)の特異的な貯蔵多糖類を原料とするバイオマスプラスチック「パラレジン」の技術開発や普及促進を目的とする「パラレジンジャパンコンソーシアム」を設立すると発表した。パラレジンで石油由来のプラスチック需要を一部代替することでCO2排出量削減に貢献する効果が期待できる。コンソーシアムでは、ユーグレナの他にパラレジン生産に関わるセイコーエプソン(以下、エプソン)とNECが幹事企業として参加する。


写真奥の白色のものがパラミロン、オレンジ色のものがパラレジンのパレット。手前はパラレジンを用いたサンプル品[クリックして拡大]

生体親和性の高い素材として使用可能か

 パラレジンはユーグレナが作った造語で、ミドリムシの独自成分であるパラミロンとレジン(樹脂)を組み合わせたものである。

 パラミロンはβ-1,3-グルカンからなる多糖類であり、ミドリムシに特異的に見られる成分だ。通常、ミドリムシ1匹には乾燥重量の約30%含まれているが、ミドリムシの培養液中に糖類を入れるなど成分を調整することで、比率を約50%に高められる。ミドリムシからの抽出後、レジンなどと混合することで、バイオマスプラスチックであるパラレジンが製造可能になる。


パラミロンを多く含んだ状態のミドリムシ*出典:ユーグレナ、エプソン、NEC

 パラレジンは化学的に多様な機能を付与できる点が特徴の1つで、例えばPET(ポリエチレンテレフタレート)に類似した性質を持たせることもできる。また、有機物の中でも特にグルコース骨格が連続する構造を持つため、人の肌に触れるマスクなど生体親和性の高い製品において、何らかの特徴的な機能を付与できる可能性もある。


パラレジンのパレット拡大図*出典:ユーグレナ、エプソン、NEC[クリックして拡大]

 時計の歯車といった高精密性が要求される加工にも耐える他、器やスプーン、アイス用のへらなどの用途でも使用可能。ラジコンヘリコプターの尾翼にも使用して、一定の耐久性があることを検証済みだという。耐衝撃性や耐熱性、難燃性などは今後検証していく予定。


エプソンが子会社の射出成型機で製造したパラレジンのサンプル品。左から時計製品用の歯車、地板、特性評価用の試験片[クリックして拡大]

 価格については、将来的には1kg当たり100〜200円と、現在市場で出回るポリプロピレンと同程度に抑える計画。当面は石垣島にあるユーグレナの生産拠点で試験的に生産する予定という。

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