島津製作所が関東初の大規模研究開発拠点を開所、キングスカイフロントに:研究開発の最前線(2/2 ページ)
島津製作所が、関東地区初の大規模研究開発拠点となる「Shimadzu Tokyo Innovation Plaza(殿町事業所、Shimadzu TIP)」を報道陣に公開。約100人の従業員が入居し、投資金額は入居する建屋の改造費や約100台の分析計測機器などを含めて約20億円。
約100台の分析計測機器を4つのラボに展開
Shimadzu TIPは、1階に「Material Science Labo」、2階に「Healthcare Science Labo」と「Optics Science Labo」、3階に「Green Science Labo」と4つのラボがあり、これらに合計100台の分析計測機器を展開している。
Material Science Laboは、金属/プラスチックをはじめ、医薬品/食品/生体試料など、さまざまな材料、製品の物性計測、表面観察、内部観察などを行う。重量物となる大型の計測器を設置できるように5トンまでの床荷重に対応している。Healthcare Science Laboは、医薬品の開発/製造、疾病のマーカー探索、食品中の残留農薬やアレルゲン物質の確認など、島津製作所が現在最も注力しているヘルスケア事業に関わるソリューションを提供する。Optics Science Laboは、同社のコア技術である分光/X線の技術を用いて、各分野での製品開発、製造、品質管理の現場を支えるソリューションを提供する。Green Science Laboは、ヘルスケアに次ぐ注力分野となるカーボンニュートラルなどの地球温暖化対策や有害物質の確認などグリーン技術に関わる先端分析手法の開発を行う。
これらのラボの他、1階には島津製作所の製品や取り組み、歴史を紹介する展示空間、3階には従業員が執務を行うオフィス、4階にはイベントホールがある。イベントホールは、2つに分割可能なメインホールに加え、吹き抜け階段の頂上部に位置する球形のホール「ICHIHANA HALL」がある。ICHIHANAとは、京言葉で「いちばんに」「真っ先に」という意味の「いちはなだつ」に由来している。外観は直径20mの球体となっており、経営理念の「“人と地球の健康”への願いを実現する」の地球や、島津製作所が創業間もない時期に行った「日本初の有人軽気球」をイメージしているという。球体の表面には、島津製作所の事業を紹介する奥下和彦氏制作のレーザーピクチャーアニメーションが表示されている。
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