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「本当に儲かっているか」製造現場のデータ分析、島津製作所の挑戦製造マネジメント インタビュー

現場で生まれる大量のデータ。これを生かして開発や生産のタイムリーな改善に貢献する――。そのような業務に携わる技術者は多いだろう。島津製作所で製造推進部 課長を務める丸山和也氏、同部 主任の山川大幾氏も、現場データをどのように保存、分析し、活用するかといったデータ活用の枠組み立ち上げにまい進する技術者だ。

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 現場で生まれる大量のデータ。これを生かして開発や生産のタイムリーな改善に貢献する――。そのような業務に携わる技術者は多いだろう。島津製作所で製造推進部 課長を務める丸山和也氏、同部 主任の山川大幾氏も、現場データをどのように保存、分析し、活用するかといったデータ活用の枠組み立ち上げにまい進する技術者だ。

 島津製作所ではどのようにして現場データの活用を行い、どのような成果を得ているのか。丸山氏と山川氏に聞いた。


島津製作所の丸山和也氏(左)と山川大幾氏

製造現場のサイロ化が課題だった

 島津製作所はデータに基づいた生産体制の構築を進めており、「MAIC(Measurement、Analysis、Improvement、Control:品質管理手法シックスシグマで定められる達成プロセス)」サイクルを用いた事業課題の解決に着手している。丸山氏と山川氏が所属する製造推進部は2018年4月に発足し、同社全事業部のモノづくりをデータの力でサポートする体制の構築を担っている。

 同社はこれまでも現場におけるデータ活用を進めていたが、その一方で複数の課題にも直面していた。各現場で独自にデータ活用が行われていたために活用度合いに差が生じており、現場間におけるデータ活用の連携も不全状態にあったという。

 丸山氏は、当時の状況について「進んでいる製造現場では、セルごとの作業内容を数秒ごとにデータ化したり、自工程の製造指図をBIツールで分析、見える化したりしていたが、個々にこれらのデータを月次でまとめて見ているという印象だった。一方で、データ分析に長けていない現場では自分でデータは取っているが、分析結果を見たいときに見ることができなかった。他部署に分析を依頼して、少し時間が経ったデータを見ていた」と語る。

 新たに発足した製造推進部は、多彩なバックグラウンドを持つ人材が集っていた。例えば、丸山氏は事業部で品質保証、製造、生産技術を歴任し、山川氏は同社やグループ企業で基幹系システム導入を支援した経験を持つ。そのため、さまざまな現場でサイロ化が進んでいる状況は理解できていた。山川氏は「現場間で異なるBIツールを使っていたり、そもそも(他のデータ分析ツールの)存在を知らなかったりした」と指摘する。

 そのような状況を解決するため、「MAICサイクルに基づいたモノづくりや、製造を見える化するダッシュボードを統一導入したいという話が持ち上がった」(丸山氏)という。

本当に儲けが分かるKPI分析を行うために

 数あるデータ可視化ソリューションの中から最適なものを選定するにあたり、丸山氏らが重視した点がクラウドサービスであることだ。現場で生まれる大量のデータを入力し、実用的なサイクルで分析するにはローカルシステムではパフォーマンスが不十分であったためだ。そこで、クラウドBIツールを始めとした複数のデータ分析ソリューションをPoC(概念実証)により比較検討し、データを基盤としたビジネスプラットフォームの「Domo」を導入したという。

 DomoはさまざまなITシステムと接続し、大量のデータを保存、分析する。分析結果の議論を深めるコラボレーションツールなども備える。山川氏は、Domoを選定した理由について「さまざまなツールを使ってみたが、Domoはエンドユーザーフレンドリーであり、大量のデータを入れても分析結果をキレイに見せてくれる。ドリルダウンを行うときもパフォーマンスが良い。そこで『おぉ』という感動があった」と語る。「分析して終わりでなく、分析結果をコミュニケーションできる。Domoによって一気通貫でいろいろなことができる」(同氏)ことも導入の決め手だった。

 丸山氏は「数千万〜数億行ものデータを入力しても速く動いてくれる。また、オフライン会議で発生するデータの手直しや議事録作成といった作業が省力化できる。ドリルダウンもストーリー性を持って実行できることも魅力だ」と語った。

 現在、同社ではERPやMES(製造実行システム)とDomoを接続し、各種在庫の見える化など生産状況の可視化を進めている。また、Domoのユニークな活用方法として、同社の材料試験機とつかみ具などオプションの適合確認にも用いているという。

 「材料試験では食品から鉄柱まで多種多様なものを取り扱う。よって、試験装置のつかみ具も多種多様な形状が必要となるなど、非常に多くのオプションパーツをそろえている。試験装置とオプションの組み合わせは数万パターンにも及ぶため、3D CADモデルを用いた適合検証を全部できているかというとそこまでできていないのが実情だ」(丸山氏)。

 この課題を解決するため、出荷実績のあるオプションと受注したオプションをDomo上で突き合わせているという。過去にも同様の組み合わせが合った場合はその時点で検査し適合確認が取れているため、初めて組み合わせる場合のみ適合検証を行えば済むというわけだ。

 丸山氏は「FAI(First Article Inspection:初品検査)のオプション構成版というイメージだ。この組み合わせが初であれば全検査し、過去にもある組み合わせであれば組み合わせに関する検査は不要になる。最終的には、顧客ごとにオプション納入実績と受注情報と突き合わせて組み合わせ検査の要不要を事前に判定したい」と語る。

 今後、Domoの活用により、海外生産におけるコスト評価や物流の可視化など「本当に儲かっているのかを突き詰めて分析する」(山川氏)体制の構築に挑戦する構えだ。

 「本当に儲けが分かるKPI分析をDomoでやりたい。例えば、コストダウンを数十億円達成したから本当に良いかというと、利益改善につながっていないこともある。掲げられたKPIを行動に移した結果、従業員の幸せにつながっているかを突き詰めて見ていきたい」(山川氏)

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