適応型LiDARが3km先を検知し銃弾も捕捉する、AEyeが日本市場での事業展開を加速:自動運転技術(2/2 ページ)
米国でLiDARを手掛けるスタートアップのAEyeが事業戦略について説明。同社 CEOのブレア・ラコルテ氏は「自動車向けでの事業展開に加えて、非車載の産業向けでも高い評価を得ている日本市場を重視している。新技術の開発で先進的な役割を果たしてきた日本企業との協業を進めていく」と語った。
コンチネンタルから量産見本を発表、国内では鉄道車両メーカーから高評価
スタートアップであるAEyeは、優れた技術と確信する4Sightの導入を推進するために自動車向けと産業向けでビジネスモデルを分けている。自動車向けでは、戦略パートナーであるティア1サプライヤー向けに、ハードウェアのレファレンスデザインとソフトウェアをライセンス供給する形式を取っている。ティア1サプライヤーが実際に4SightベースのLiDARシステムを量産する場合には、AEyeのエコシステムに参画するベンダーの半導体などを使った量産設計を行うことになる。
既に4SightベースのLiDAR「HRL131」の量産見本を発表しているのがコンチネンタル(Continental)だ。同社は、ADAS(先進運転支援システム)を自動車メーカー25社に納入するなどの実績を有している。AEye 共同創設者、GM オートモーティブのジョーダン・グリーン(Jordan Greene)氏は「今後、コンチネンタルが開発する次世代ADASにHRL131が広く利用されていくことになるだろう」と述べる。この他、日本市場では、アイシンがAEyeのパートナーとなっている。
産業向けでは、自動車以外のさまざまな市場への展開を素早く進めるために販売パートナーとの協業を進める形式を取っている。これまでは、自動運転技術を社会に実装するためのインフラ、いわゆるITS(高度道路交通システム)を中心としたスマートシティー向けをメインターゲットとしてきたが、他市場からの引き合いも強くなっている。AEye GM インダストリアルのブレント・ブランチャード(Brent Blanchard)氏は「日本国内では複数の商社と良い関係性を構築できており、スマートシティー向けに加えて、鉄道車両メーカーなどからも高い評価を得られている」と説明する。この他にも、ヘリコプターなどの航空宇宙/防衛の市場に向けた展開も進めているという。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- コンチネンタルが採用するAEyeの“アダプティブLiDAR”、交通インフラにも展開
LiDARスタートアップとして注目されているAEye(エーアイ)の日本法人が、独自のLiDARプラットフォーム「4Sight」の技術の独自性や事業展開について説明。コンチネンタルに採用されている車載向けに加えて、交通インフラや産業機器など非車載向けにも展開する方針である。 - 高速道路や交差点……LiDARが場面に応じて異なるスキャン、ソフトウェアがカギ
コンチネンタルは、資本提携しているAEyeとともに、ソフトウェアでアップデート可能なLiDAR(Light Detection and Ranging、ライダー)の開発を進めている。 - 全固体電池やLiDAR……自動車メーカーがコストよりも「足りない性能」に言及するとき
土曜日ですね。昨日からお休みの方、5月8日まで休みで10連休だという方、「みんなが休みのときこそ仕事」という方、皆さまおつかれさまです。連休直前や連休明けに稼働停止という自動車メーカーがあり、気をもんでいる方も多いかもしれません。 - 日産がLiDAR採用の運転支援技術、2段階の衝突回避で複雑な場面に対応
日産自動車は2022年4月25日、障害物や車両との衝突を緊急回避するための次世代センシング技術を発表した。障害物を操舵アシストで回避した後に歩行者を検知してブレーキを制御するというように、2段階での緊急回避を実現する。この運転支援技術「グラウンド・トゥルース・パーセプション」は技術開発を2020年代半ばまでに完了させ、新型車に順次搭載する。 - 人の目を傷つけずにレーザー光の強度をアップ、LiDARの小型化と長距離計測を両立
東芝は2022年3月18日、人の目に対する安全性と長距離計測、小型化に貢献するLiDAR(Light Detection and Ranging、ライダー)向け投光器を開発したと発表した。 - 小糸製作所が1億ドル投資するLiDARベンチャー、ADAS向け特化で大規模受注獲得
セプトン・テクノロジーが2016年5月の設立から注力してきたADAS向けLiDAR事業の成果や戦略について説明。米国大手自動車メーカーが2023年から市場投入する新型車向けの大規模受注が決まっており、小糸製作所から合計1億米ドルに上る出資を受けるなど、今後も拡大するADAS向けを中心としたLiDAR市場での展開を拡大していく方針だ。