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小糸製作所が1億ドル投資するLiDARベンチャー、ADAS向け特化で大規模受注獲得組み込み開発ニュース(1/2 ページ)

セプトン・テクノロジーが2016年5月の設立から注力してきたADAS向けLiDAR事業の成果や戦略について説明。米国大手自動車メーカーが2023年から市場投入する新型車向けの大規模受注が決まっており、小糸製作所から合計1億米ドルに上る出資を受けるなど、今後も拡大するADAS向けを中心としたLiDAR市場での展開を拡大していく方針だ。

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 セプトン・テクノロジー(Cepton Technologies、以下セプトン)は2021年9月2日、オンラインで会見を開き、2016年5月の設立から注力してきたADAS(先進運転支援システム)向けLiDAR(Light Detection and Ranging、ライダー)事業の成果や戦略について説明した。デトロイトに本社を置く米国大手自動車メーカーが2023年から市場投入する新型車向けの大規模受注が決まっており、ヘッドランプ大手の小糸製作所から合計1億米ドルに上る出資を受けるなど、今後も拡大するADAS向けを中心としたLiDAR市場での展開を拡大していく方針だ。

セプトンのジュン・ペイ氏
セプトンのジュン・ペイ氏

 セプトンはシリコンバレー発のLiDARベンチャーで、シリコンバレーの半導体関連企業やLiDAR大手企業などの出身者が集結して2016年5月に創業した。同社 CEO兼共同創業者のジュン・ペイ(Jyun Pei)氏も、スタンフォード大学出身の光学とエレクトロニクスの技術スペシャリストであり、半導体検査装置大手のKLA TencorやLiDAR大手のVelodyne Lidarなどでキャリアを積んできた。現在の社員数は116人で、日本のカントリーマネージャーは車載半導体事業の経験が豊富で日本語も堪能な倉臼あんどりゅ(Andrew Klaus)氏が務めている。

 会見に登壇したペイ氏は「今やLiDARは自動車のみならずさまざまな市場で求められるようになっているが、当社が一貫して開発に注力してきたのはADAS向けのLiDARだ。創業当時の2016年は自動運転(AD)技術に注目が集まっており、LiDARの開発も自動運転技術とみられていた。だが当社は、ADASこそがLiDAR市場における最大の商機と考え、ADASに求められる仕様を満たすLiDARの開発に傾注してきた」と語る。

セプトンの主要ターゲットはADAS
LiDARはさまざまな市場で用いられているが、セプトンの主要ターゲットはADASである(クリックで拡大) 出典:セプトン・テクノロジー

 セプトンは、ADASや自動運転技術を搭載する新型車の世界市場規模は2020年から2030年にかけて平均18%で成長するものの、そのほとんどをADASが占めると予測。金額ベースのLiDAR市場規模も、2020年から2030年にかけて平均18%で成長するが、やはりADAS向けが中心的な役割を果たすと見ている。

ADASや自動運転技術を搭載する新型車の世界市場規模(左)と金額ベースのLiDAR市場規模(右)
ADASや自動運転技術を搭載する新型車の世界市場規模(左)と金額ベースのLiDAR市場規模(右)(クリックで拡大) 出典:セプトン・テクノロジー

 しかし、ADAS向けLiDAR市場は大きな可能性がある一方で課題も大きい。「性能、信頼性、コスト、統合性、これら全ての要件を満たす必要がある。当社は特に、LiDARとしての長距離検知や高い解像度だけでなく、寿命や機能安全など車載システムに求められる高い信頼性、そして高級車だけでなく大衆車にも搭載可能な低コストの全てを兼ね備えるLiDARを一から設計開発してきた」(ペイ氏)。

ADAS向けLiDARの課題
ADAS向けLiDARの課題(クリックで拡大) 出典:セプトン・テクノロジー

米国大手自動車メーカーは3種類のプラットフォームにLiDARを採用

 ペイ氏が、セプトンの事業展開における重要なランドマークとして挙げるのが、米国大手自動車メーカーによる大規模受注案件の獲得と、小糸製作所との出資を含めたパートナーシップだ。

セプトンの創業から現在までの実績
セプトンの創業から現在までの実績(クリックで拡大) 出典:セプトン・テクノロジー

 まず、米国大手自動車メーカーからの受注については、2023年の量産開始が見込まれる新型車で、2027年までの単独調達も決まっている。ペイ氏は「この受注で重要なのは、1つの車種にとどまるものではなく、さまざまな車種が展開されるであろう3種類のプラットフォーム向けであることだ。最先端のADAS機能が当社のLiDARによって実現されるだろう」と強調する。

 小糸製作所とのパートナーシップは、ヘッドランプなど照明システムへのLiDARの組み込みが中核となる一方で、同社によるLiDAR単独での事業展開にもつながっている。実際に、先述の米国大手自動車メーカーからの受注では、小糸製作所がティア1、セプトンがティア2という役割分担でLiDARを納入することになっている。2020年に5000万米ドルの出資を受けたセプトンだが、2021年8月にはさらに5000万米ドルの追加投資が決まっており、両社の関係が深まっている。「日本国内の大手自動車メーカー向けの事業展開でも大きな力になると考えている」(ペイ氏)。

米国大手自動車メーカーからの大規模受注(左)と小糸製作所とのパートナーシップ(右)の概要
米国大手自動車メーカーからの大規模受注(左)と小糸製作所とのパートナーシップ(右)の概要(クリックで拡大) 出典:セプトン・テクノロジー
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