日立と産総研が“強者連合”、日本発でサーキュラーエコノミー技術を発信へ:研究開発の最前線(2/2 ページ)
日立製作所と産業技術総合研究所は、産総研臨海副都心センター(東京都江東区)内に「日立−産総研サーキュラーエコノミー連携研究ラボ」を設立した。同連携研究ラボには、日立から約20人と産総研から約20人、合計約40人の研究者が参加し、2025年10月10日までの3年間で10億円を投じる計画である。
小島氏「2024年度末までに何らかの成果を出したい」
3つ目のテーマである「標準化戦略の立案・施策の提言」では、サーキュラーエコノミーに関わる標準化対象、範囲の整理、標準化戦略の方向性の検討を通じて、アカデミアや行政、日立以外の企業と連携したアーキテクチャ、インタフェース、評価指標などの標準化戦略を立案し、施策の提言につなげる。
具体的には、ISOやIECなどの国際標準を策定する組織内でサーキュラーエコノミーに関わる規格の策定に積極的にコミットすることにより、小島氏が語った「日本発のサーキュラーエコノミー技術の発信」を実現していく。既に、製造システム/製造プロセスの違いによらずさまざまなデータ分析プログラムを利用可能にするためのサイバー空間での記述方法をルール化するISO 20140では、産総研からエキスパートを派遣しており、ここでの活動が起点になる。
なお、ISO 20140の規格策定は主にカーボンニュートラルに向けたものだが、環境影響評価の公平性の担保や新たな製造装置の接続の容易化などが可能になることで、サーキュラーエコノミーにも展開できる見込みだ。ISO 20140を議論しているのはTC(専門委員会) 184だが、サーキュラーエコノミー関連ではISOのTC 207やTC 323、IECのTC 65なども関わるため、標準化活動は広く行う必要がありそうだ。
今回の日立−産総研サーキュラーエコノミー連携研究ラボは、産総研が2016年4月から展開してきたパートナーとなる企業名がラボ名称に入る“冠ラボ”の制度を用いている。ただし、「従来の冠ラボは研究を共同で行うことを重視していたが、今回は社会実装が主眼になっている。日立と産総研の強者連合で基盤を確立した上で、これを横展開して社会実装するための仲間づくりも必要になって来るだろう」(石村氏)。
小島氏も「エコシステムの構築に向けて重要なのが『循環経済社会のグランドデザインの策定』と『標準化戦略の立案・施策の提言』だと考えている。これらをオープンに展開して仲間づくりを進めていきたい」と説明する。さらに、「当社の『2024中期経営計画』の最終年度である2024年度末までに何らかの成果を出せるようにしたい。しっかりと成果を出した上で、その後の3年間など3年刻みで連携研究ラボの取り組みを進められればと考えている」(同氏)としている。
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