素材・化学で「どう作るか」を高度化する共同研究拠点、産総研が3カ所で整備:FAニュース
産業技術総合研究所(以下、産総研)の材料・化学領域では2021年6月23日、マテリアル・プロセスイノベーションプラットフォームの整備を開始したと発表した。
産業技術総合研究所(以下、産総研)の材料・化学領域では2021年6月23日、マテリアル・プロセスイノベーションプラットフォームの整備を開始したと発表した。
材料開発分野において、マテリアルズインフォマティクス(MI)は、材料探索や試作において開発期間が大幅に短縮されるなど、大きな成果を生み出しつつある。この「何を作るのか」を検討するMI に加えて、「どう作るのか」に焦点を当てたプロセスインフォマティクス(PI)についても注目が集まっており、PIの技術基盤を早急に確立し、MIとPIの両輪による材料開発を進めることが重要だとされている。
マテリアル・プロセスイノベーションプラットフォームは、日本の国際競争力の源泉だとされるすり合わせ型製造プロセスに取り組む企業の製造プロセスの高度化を目的とし、3カ所の産総研地域センター(つくば、中部、中国)に最先端のプロセス装置群や分析装置群を導入するというものだ。原料から製品に至るまでの製造プロセスデータを一括して収集し、その解析やデータ駆動型の製造プロセス改善ができる拠点の整備を進める。2021年度内に整備を完了し、企業の研究開発支援を開始する。
マテリアル・プロセスイノベーションプラットフォームは、主に「中小・中堅・ベンチャー企業などの拠点利用による社会実装支援」と「プロセスインフォマティクス基盤技術開発に向けた整備」の2つを目的としている。最新技術の活用が難しいベンチャー企業などを支援することで新産業創出に貢献する他、PI構築に必要なデータ取得や利活用を推進する制度設計などに活用できる拠点を目指す。
産総研の各地域センター(つくば、中部、中国)では、それぞれ目的に応じた設備を整備する。つくばセンターは、資源循環の革新をもたらす触媒材料拠点とし、機械学習を利用した触媒設計システムや、ハイスループットな触媒自動合成設備、自動評価設備などを導入する。中部センターは、セラミックス、合金などの極限機能材料拠点とする。自動車・航空機などのモビリティ用材料を開発するメーカーが集積している中部地域において、セラミックス・合金などで原料となるナノ粒子から部素材に至るまでのプロセス全体を一括で開発する機能を備えた拠点として整備する。中国センターは、脱化石資源実現を目指したバイオベース材料拠点とする。ナノセルロースなどの新素材の社会実装を目指し、各種原料の調整や、樹脂やゴムとの複合化を可能とする分散・成形加工プロセス設備を導入する。さらに、これら部素材の構造と製品特性を関連付けるための高度な分析・評価設備を備えた拠点を整備する。
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