日立は6年ぶりの売上高10兆円へ、小島氏がCEOに就任し経営体制も刷新:製造マネジメントニュース(1/2 ページ)
日立製作所が2021年度第3四半期の連結決算と併せて、2022年度以降の次期中期経営計画に向け、2022年4月1日付で事業体制強化のための組織変更を行うことを発表した。2021年度通期の連結業績は、半導体不足や部材価格高騰、コロナ禍の再拡大などで事業環境は厳しいものの、売上高が前回予想比3%増で10兆円の大台に達するという。
日立製作所は2022年2月2日、2021年度(2022年3月期)第3四半期(10〜12月期)の連結決算と併せて、2022年度以降の次期中期経営計画に向け、2022年4月1日付で事業体制強化のための組織変更を行うことを発表した。2021年度通期の連結業績は、半導体不足や部材価格高騰、コロナ禍の再拡大などで事業環境は厳しいものの、売上高が前回予想比3%増で10兆円の大台に達し、調整後営業利益も前回予想と同じ7230億円を維持する見通し。事業体制強化では、執行役会長兼CEOの東原敏昭氏が執行役会長にとどまるもののCEOを退任し、執行役社長兼COOの小島啓二氏がCEOに就任することを決めた。
小島氏がCEOとなる新たな事業体制では、まず、成長戦略をデジタル、環境、イノベーションという3つの観点で推進するグループ横断の組織を設ける。
デジタルについては、北米に本拠を置く日立グローバルデジタルホールディングスの機能を強化した上で「日立デジタル社」に改称し、これまで国内中心だったデジタルソリューション群「Lumada」の展開をグローバルで拡大する拠点に位置付ける。日立デジタル社の会長には、新たに発足するデジタルシステム&サービス部門を担当する執行役副社長の徳永敏昭氏が、CEOには制御プラットフォーム事業のDX(デジタルトランスフォーメーション)推進や家電事業のデジタル化をリードしてきた、日立グローバルライフソリューションズ 社長の谷口潤氏が就任する。さらに、2021年7月に買収を完了したグローバルロジック(GlobalLogic) CEOのシャシャンク・サマント氏が、徳永氏のエグゼクティブアドバイザーを兼務して日立グループ全体のデジタル事業成長戦略の策定に参画する。日立ヴァンタラ CEOのカジェン・カンディア氏も、デジタルシステム&サービス部門のCDXO(Chief DX Officer)を兼務し、デジタル事業のグローバルな成長を推進する体制を強化する。
環境については、新設するChief Sustainability Officerに執行役常務のロレーナ・デッラジョヴァンナ氏が就任し、Head of EnvironmentとChief Diversity & Inclusion Officerを兼務する。欧州政界や産業界に幅広い人脈を持つデッラジョヴァンナ氏の下で、グローバルな環境戦略を策定・推進し、GX(グリーントランスフォーメーション)によるサステナブルな成長を目指す。
イノベーションについては、2050年からバックキャストしたイノベーション創出を目指すイノベーション成長戦略推進本部を新設。同本部長はCEOの小島氏が兼務する。研究開発グループやスタートアップとの連携を強化しながら、戦略的な投資を通じて新たな技術やビジネスモデルによるイノベーションを生み出すことで、日立グループの次の成長をリードしていく。
これら3つのグループ横断の成長戦略と併せて、これまでIT、エネルギー、インダストリー、モビリティ、ライフという5セクターに分けて進めてきた事業体制を「デジタルシステム&サービス」「グリーンエナジー&モビリティ」「コネクティブインダストリーズ」の3部門に再編する。
日立デジタルと一体でデジタル戦略を推進するデジタルシステム&サービス部門は、現行のITセクターがスライドする形となり、金融BU(ビジネスユニット)、社会BU、サービス&ビジネスプラットフォームBU、日立システムズと日立ソリューションズが入る。小島氏が統括するグリーンエナジー&モビリティ部門は、エネルギーセクターとモビリティセクターから鉄道BUが加わる。コネクティブインダストリーズ部門は、インダストリーセクター担当の執行役副社長を務める青木優和氏がトップに就く。同部門は、インダストリーセクターとライフセクターの他、モビリティセクターのビルシステムBUから構成される。そして、3部門以外の位置付けになるのが、オートモーティブシステム事業の日立Astemoだ。
なお、モビリティセクターのトップを務める執行役副社長のアリステア・ドーマー氏が2022年3月31日付で日立ヨーロッパ社 取締役会長以外の役職を退任することも決まった。
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