日立は6年ぶりの売上高10兆円へ、小島氏がCEOに就任し経営体制も刷新:製造マネジメントニュース(2/2 ページ)
日立製作所が2021年度第3四半期の連結決算と併せて、2022年度以降の次期中期経営計画に向け、2022年4月1日付で事業体制強化のための組織変更を行うことを発表した。2021年度通期の連結業績は、半導体不足や部材価格高騰、コロナ禍の再拡大などで事業環境は厳しいものの、売上高が前回予想比3%増で10兆円の大台に達するという。
半導体不足で750億円、部材価格高騰で900億円の利益押し下げ
2021年度第3四半期累計の連結決算は、売上高が前年同期比23%増の7兆3466億円、調整後営業利益が同52%増の4844億円となった。半導体不足、部材価格高騰、コロナ禍による活動制限などの影響により、第3四半期単独ではITセクターや日立エナジー、ビルシステム、鉄道、日立Astemoなどで前年同期比減益となったものの受注は好調で、注力しているLumada事業も堅調に推移している。
半導体不足、部材価格高騰などの影響は5セクターと日立Astemo、上場子会社の全てで継続している。第3四半期累計の調整後営業利益への押し下げ影響は、半導体不足が750億円、部材価格高騰が900億円の合計1650億円で、第2四半期から150億円増加している状況だ。
Lumada事業は、第3四半期累計の売上高が前年同期比40%増の1兆600億円となった。オーガニック成長に加えて、日立エナジーのパワーグリッド事業やグローバルロジックの買収によって海外比率が50%まで高まっており、これまで収益貢献比率が低かったエネルギーとライフの売上高も増加するなど好調さを維持している。2021年度通期の売上高は、前年同期比44%増の1兆6000億円となる見通しだ。
2021年度の通期業績は、前回予想比3%増の10兆円とし、調整後営業利益は7230億円で前回予想を堅持した。日立の連結売上高が10兆円の大台に乗るのは2015年度以来6年ぶりとなる。日立 執行役専務 CFOの河村芳彦氏は「半導体不足や部材価格高騰などのインフレ対策では、長期契約や適切なスポット調達によるコスト低減の他、極めてコスト高になっているものは内製化も視野に入る。事業環境は厳しいが価格転嫁も進めながら、2022年度は買収による償却を除いた5セクターの調整後営業利益率で10%を達成できるようにしたい」と述べている。
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