半導体不足で1800億円減収の日立、逆境てこに2021年度通期業績見通しはほぼ維持:製造マネジメントニュース
日立製作所(以下、日立)が2021年度第2四半期の決算を発表。同年度上期の連結業績は、前年同期から大幅に回復し、売上高が前年同期比29%増の4兆8326億円、調整後営業利益が同71%増の3100億円となった。半導体不足の影響により年間で売上高1800億円、利益700億円が押し下げ効果があるものの、通期業績予想は前回発表をほぼ維持した。
日立製作所(以下、日立)は2021年10月27日、2021年度(2021年3月期)第2四半期(7〜9月)の決算を発表した。同年度上期の連結業績は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大の影響を大きく受けた前年同期から大幅に回復し、売上高が前年同期比29%増の4兆8326億円、調整後営業利益が同71%増の3100億円となった。市況回復に加えて、日立エナジー(2021年10月13日付で日立ABBパワーグリッドから社名変更)やグローバルロジック(GlobalLogic)の買収効果、車載システム事業を手掛ける日立Astemoの統合効果で増収を果たし、売上高の増加に伴って増益も確保した形だ。
世界的な脱炭素のトレンドに合わせて日立エナジーの受注が好調に推移しており、2021年度第2四半期の受注高は25億米ドルとなり、受注残高も約120億米ドルまで積み上がっている。買収を完了したばかりのグローバルロジックも2021年度第2四半期の売上高が前年同期比52%増の344億円、調整後営業利益率も22%と高い水準にあるという。
注力事業として推進しているデジタルソリューション群「Lumada」の事業規模を示すLumada事業の2021年度上期売上高は前年同期比38%増の6760億円となった。ITセクター中心のコア事業、その他4セクターとの関わりが深い関連事業ともに伸長したが、これには事業買収の効果も含まれている。ただし、事業買収の効果を除いたオーガニック成長でも14%の伸び率があったとしている。なお、2021年度通期の売上高は、前年同期比42%増の1兆5800億円を見込む。
半導体不足の影響は2021年度第3四半期が最も大きくなる
2021年度上期と同様に下期の業績も基本的に好調に推移する見通しだが、マイナス要因になっているのが半導体不足の影響である。日立 執行役専務 CFOの河村芳彦氏は「半導体に加えて、鉄、銅、アルミなどの部材も高騰しており、車載システム事業を手掛ける日立Astemoを中心に、上期の段階から想定していたリスクが大きく顕在化している」と語る。
例えば半導体不足では、日立Astemoだけでなく、ITセクターのハードウェア製品であるストレージやサーバの売上高減少や、インダストリーセクターのFA機器の納期遅延などの影響が出ている。また、エネルギーセクターでは電磁鋼板などの高騰がコスト増加につながっており、インダストリーセクター、モビリティセクターのビルシステム事業、ライフセクターの家電事業、日立Astemo、日立建機のコスト増加の要因になっている。
2021年度全体では、半導体不足によって売上高1800億円、利益700億円の押し下げ効果があるという見通しだ。鉄や銅などの部材高騰については、さまざま対策を打った上でも年間で800億円のコスト増が見込まれるという。「半導体不足の影響は2021年度第3四半期が最も大きくなりそうだ。2022年の秋ごろになればこの厳しさも緩んでくるのではないかと想定している」(河村氏)。
2021年度通期業績見通しについては、半導体不足や部材高騰というリスクを織り込み、売上高は前回見通し比2%増の9兆7000億円、調整後営業利益は同2%減の7230億円とした。河村氏は「半導体不足や部材高騰による甚大な影響があるが、それをモメンタムにビジネスをしっかりと進められており、前回とほぼ変わらない水準の業績見通しを確保できた」と述べている。
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