日立のインダストリーセクターは北米事業を核に成長、次期中計で売上高1兆円超へ:製造マネジメントニュース(1/3 ページ)
日立製作所が「Hitachi Investor Day 2021」をオンラインで開催。インダストリーセクターを統括する同社の青木優和氏が登壇し、中期経営計画の進捗状況や、傘下に収めたJRオートメーションやサルエアーなど北米事業の業績を報告するともに、次期中計で売上高1兆円超、調整後営業利益率で10%超を目指すことを明らかにした。
日立製作所(以下、日立)は2021年6月8日、同社の事業方針を投資家向けに説明する「Hitachi Investor Day 2021」をオンラインで開催。インダストリーセクターを統括する同社 執行役副社長 インダストリー事業統括本部長の青木優和氏が登壇し、2021年度を最終年度とする中期経営計画の進捗状況や、傘下に収めたJRオートメーション(JR Automation Technologies)やサルエアー(Sullair)など北米事業の業績を報告するともに、次期中計で売上高1兆円超、調整後営業利益率で10%超を目指すことを明らかにした。
日立のインダストリーセクターは、産業・流通と水・環境のBU(ビジネスユニット)と、日立グループの各BUで用いられているさまざまな製品を手掛けるプロダクト事業から構成されている。2020年度は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響で厳しい事業環境にあったものの、売上高は前年度比1%減の8581億円と落ち込みを最小限にとどめるとともに、調整後営業利益率も同1ポイント減の5.7%を確保した。
青木氏は「2020年度の当初見通しに対して、COVID-19で売上高に約15%のマイナス影響が出ることを想定していた。このマイナス影響に対して10%近くを、顧客との協創によって実現する『トータルシームレスソリューション』などでカバーできた。顧客に価値を認めてもらうことで、製品単体の販売よりも高い収益力を出せるこのトータルシームレスソリューションに加えて、コロナ禍で固定費の洗い出しを進めたこともあり、調整後営業利益率10%超に向けた体力は付いてきたのではないかと考えている」と語る。実際に、2020年度の売上高構成を見ると、産業・流通BUと水・環境BUが手掛けるソリューション事業が56%、製品販売が中心のインダストリアルプロダクツ事業が44%となっており、2019年度の50%ずつの状態からソリューション事業の比率が高まっていることが分かる。
2021年度の業績見通しは、売上高が前年度比3%増の8800億円、調整後営業利益率が同2.5ポイント増の8.2%となっている。2021年度も引き続くコロナ禍の影響で売上高はあまり伸びないものの、調整後営業利益率は目標の10%超を視野に入れられるラインに持って行きたい考えだ。青木氏は2019年6月の「Hitachi IR Day 2019」で、2021年度の事業目標として売上高1兆円、調整後営業利益率10%を掲げたが「コロナ禍もあって2021年度の達成は難しいが、インダストリーセクターは日立グループの中でも最も成長の余地が大きいと考えており、次期中計で十分に達成できるだろう」と述べる。
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