低消費電力で高効率のAI処理ができる、物体検知ソリューションを共同開発:人工知能ニュース
NSITEXEとデンソーテンは、AIアクセラレーター「ML041」と「軽量エッジAI」を組み合わせた「低消費電力物体検知ソリューション」を共同開発した。演算性能を維持したまま、演算量と消費電力を削減できる。
NSITEXE(エヌエスアイテクス)とデンソーテンは2022年9月8日、NSITEXEのAI(人工知能)アクセラレーター「ML041」と、デンソーテンの「軽量エッジAI(ニューラルネットワーク)」を組み合わせた「低消費電力物体検知ソリューション」を共同開発したと発表した。演算性能を維持したまま、演算量と消費電力を削減できる。車載製品や、セキュリティカメラ、FAなど組み込み機器への導入を見込む。
ML041が実行するニューラルネットワーク処理では、入力データを分割(Tiling)し、複数のレイヤー処理の入出力を分割データごとに連結(Layer fusion)する。従来の処理と異なり、外部メモリへのアクセスを最小限にすることで、電力効率が向上した。
軽量エッジAIでは、少ない演算量で高度な物体検出ができる。特徴抽出部の演算の一部を近似演算(Separable Convolution)にするなど、小さな特徴抽出部とマルチクラスの高精度オブジェクト検出部を組み合わせた独自の演算手法を採用している。
例えば、ニューラルネットワーク「MobileNet_v3」「GoogleNet」「Inception_v3」に対して、ML041は7nm世代SoC実装時に0.42W、5.08TOPS(12TOPS/W)で処理できる。さらに軽量エッジAIを組み合わせることで、性能を維持したまま演算量を7分の1に削減し、消費電力を0.06Wに抑えられる。
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