Open RAN市場のシェア15%以上を将来目標に、NECのグローバル5G事業戦略:製造マネジメントニュース
NECは2022年9月22日、グローバル5G事業戦略についてオンラインで説明会を開催した。同社のOpen RAN関連の2025年度までの事業の見通しなど説明を行った。
NECは2022年9月22日、グローバル5G事業戦略についてオンラインで説明会を開催した。同社のOpen RAN関連の2025年度までの事業の見通しなど説明を行った。
2025年度までに年平均成長率30%以上予想
NECはグローバル5G事業について、2021〜2022年度を「積極投資期」、2023〜2025年度を「投資回収期」と位置付けた事業戦略を構築している。積極投資期はOpen RAN市場の立ち上がり時期だという位置付けだ。Open RANとは、無線アクセスネットワーク(RAN)の仕様をオープン化し、異なるメーカーの機器を接続してネットワーク構築が行える仕組みだ。NECでは、O-RU(無線ユニット)を中心に顧客を獲得し、システムインテグレーターとしてソフトウェアのポートフォリオを拡充してきた。投資回収期ではOpen RANの本格的な市場展開が見込まれるとして、CU、DU、SMO(サービスマネジメント・オーケストレーション)などにソフトウェアやハードウェアを統合して提供することで、ソフトウェアライセンスの販売やリカーリングサービスに軸足を置いたビジネスへと転換を図っていく計画だ。
NEC 執行役員常務の河村厚男氏は、現在、通信事業者におけるOpen RAN導入の意向は高まりつつあるとした上で、「呼び水となるのはグローバルでのさらなる商用稼働実績だ。今後、当社も欧州での商用稼働に向けて注力していきたいと考えている」と語った。NECはグローバル基地局市場におけるOpen RAN市場について、2022〜2025年度には約30%以上のCAGR(年平均成長率)になると予想する。将来的にNECは、Open RAN市場の約15〜20%のシェアを獲得することを目標に掲げているという。
グローバル5G事業は2020年度の売上収益417億円から、2021年度には670億円と成長を遂げた。2022年度は「一部顧客において投資が慎重になったことを踏まえて」(河村氏)、売上収益予想を当初の計画値である1100億円から820億円に下方修正した。投資判断の変化については、国内市場では部材の調達難による影響、海外市場では2Gや3G、4Gなどを扱う一部の通信事業者においてOpen RANの検証作業が遅れたことなどを要因として挙げた。
ただ、「2021年度の時点でグローバル5Gの市場における当社のポジションをある程度確立することができた。欧州での受注は好調で全体的な投資意欲は落ち込んでいない」(河村氏)として、2025年度の売上収益予想である1900億円の目標は据え置くとした。今後、中期経営計画の達成に向けて、さらに10〜15個程度のOpen RAN関連の案件を2022年度までに獲得する計画だという。
2022年度のグローバル5G事業の事業戦略については、欧州を中心とした商用システム構築による市場形成と提供価値のさらなる拡大を図るとした。製品の提供価値に加えて顧客価値を向上するためのシステムインテグレーション体制を整備する。これにより、2Gや3G、4Gを主に扱う通信事業者にも対応可能な商用ネットワーク構築を図る。また、O-RUについてはローバンドのポートフォリオを構築して、積極的に展開していく。同時に、顧客エンゲージメントの深化や、5G技術を兼ね備えたリソースをグローバルで拡充するなど体制強化も進める。
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